第105話 初めての社会勉強。

柚月「今年もやって参りましたか。」

まこ「当たり前じゃん!ま、光希いないけど。」

廉 「・・・で?何で俺も!?」


去年に引き続き、あたしとまこに加え、廉も参加でバイト三昧の夏休みが始まった。去年は戸惑いと緊張で給料泥棒みないなあたしだったけど、今年は手馴れたもの。


柚月「いらっしゃいませ!何様ですか!?」

まこ「去年から全然進歩してないじゃん(笑)」

廉 「見とけ。俺がやる。」


廉のバイト初日の晴れ舞台。如何なものかとあたしもまこも興味津々。今は丁度お昼時で店内は満席状態。


廉 「お席の方、ご案内させて頂きます。」

柚月「えっ、廉・・・!?」

まこ「まぁ、見届けようよ(笑)」


廉がお客様を連れて店内を歩き・・・戻って来た。


廉 「お客様、満席でございましたね。」

柚月「だから止めたのに・・・。」

まこ「ヤバい(笑)面白い(笑)」


苦笑いのお客様に頭を下げた廉は、何故かあたしとまこの所に直行。


廉 「どうして教えてくれないのぉ!?」

柚月「あたしは止めたのに、廉が無視してんでしょ!?」

まこ「あ、ほら!廉君、またお客様来たよ!」

廉 「いらっしゃいませ。何様ですか?」

まこ「誰かと同じ間違いしてるんですけど。」

柚月「・・・すみません。」


次のお客様はご家族三名。

ここで、まこ同様あたし立ち上げ三人は声をあげてしまった。


まこ「光希!!」

柚月「桂太先生!菜緒さんも!」

光希「混んでる時にごめんね。」

桂太「久しぶり!!相変わらず元気そうじゃん(笑)」


久しぶりに見た桂太先生の笑顔。

そうやって並んで見比べてみると、光希さんは桂太先生に似てる。


菜緒「廉!久しぶり!」

廉 「老けたな。」

菜緒「相変わらずクソがきだな(笑)」

光希「満席なの!?」

まこ「うん、でもすぐ空くと思うから待ってて!」


まこ、嬉しそう・・・。光希さんは実習が終わってから課題の日々で、中々会えない事をまこはぼやいていた。


柚月「先生、今はどこの高校にいるんですか!?」

桂太「今は隣町の高校に行ってるよ。ヤンチャな生徒ばかりで大変です(笑)」

廉 「桂君、その節はすんませんでした。」

桂太「お前が謝るなんて珍しいな(笑)しかもバイト!?」

廉 「社会勉強です。」

光希「まぁ、とりあえず席があくまでゆっくり待つから慌てなくていいからね。」

まこ「ありがとう、光希。」


その後も客足が途絶える事は無く、光希さん達を席案内したもののゆっくり会話出来る暇など到底与えられず・・・。


桂太「じゃぁ、頑張れよ!」

柚月「桂太先生も頑張って下さいね。」

菜緒「廉、ちゃんと結芽の手伝いしなさいよっ!!今度遊びに行くからね!」

廉 「ほほーい。」

光希「あ、そういえば今年の花火大会、四人で行こうよ!」

まこ「光希行けるの!?やったぁ!行く!」

柚月「廉も行ける?」

廉 「バイトサボってでも行く。」


『詳しい事はまた今度ね』

そう言った光希さん達は、笑顔で店内を後にした。

そして、夕方・・・。


柚月「いらっしゃ・・・あ。」

大地「廉君テイクアウトでお願いします!」

廉 「お客様は入店をお断りさせて頂きます。」

大地「廉君の顔見に来たのにぃ!!」

廉 「モザイクかかっております。」


突然の大地君来店。

『終わるまで外で待ってるから。』

バイトが終わるまであと30分。そして、ようやくバイトが終わったあたし達は、外で待っている大地君と再会した。




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