第104話 平和な日々

結芽「いらっしゃ・・・あれ?新しいお友達?」

廉 「生き霊です。」

大地「廉君のお母様でいらっしゃいますか!?初めましてぇん!!」

結芽「・・・え、見えても大丈夫な部類?」

まこ「結芽さん、さすがにそれは失礼です(笑)」


あの結芽さんでさえ、一歩構えてしまうキャラの大地君は、どうやら相当の破壊力の持ち主らしい。


結芽「えっと・・・、お名前は?」

大地「大地です!みんなからは大ちゃんって呼ばれてます!」

廉 「誰も呼んでねぇし。」

結芽「柚月ちゃん。大ちゃんは、お友達なんだよね?ストーカーとかじゃないよね?」

柚月「多分違うと思います。」

大地「廉君のお母様、この家にポッキーってありますか?」

結芽「いや、プリッツならあるけど・・・。」

大地「じゃぁ、みんなでプリッツゲームしよー!!」

結芽「あの、まだ上がっていいって言ってないんだけど(笑)」


誰一人として逆らう隙を与えさせない大地君のテンションに付いていけないあたし達は、ひとまず家に上がらせてもらい、リビングにあるソファーに腰を下ろした。


結芽「みんな、何飲む?」

大地「養命酒あります?」

廉 「ある訳ねぇだろ。」

結芽「・・・オレンジジュースでいいかな?」

まこ「本当にすみません、色々と・・・。」


結芽さんは、キッチンからオレンジジュースとお菓子の盛り合わせを用意し、あたし達に出してくれた。


結芽「大ちゃんは、誰のお友達?」

大地「廉君ですよぉ!!」

廉 「違うますよぉ。」

柚月「同じクラスメイトなんです。」

結芽「あー、なるほどね。で?大地君って・・・」


『性別どっち?』

致し方ない質問。あたし達でさえ、たまに疑ってしまう事がある。

突如として現れ、濃いキャラで振り回され、いつの間にか行動を共にしている。


大地「アルカリ性です。」

結芽「あ、そうなんだ!!」

廉 「納得すんな。」

柚月「結芽さん、大地君は一応男です。」

大地「でも、隠せば女ですぅ!」

結芽「どれ、見せてみよ。」

廉 「やめろっ!脱ぐな!!」

大地「あ、もしかして大きさ比べられるの気にしてる?」

廉 「どれ、見せてみよ。」

柚月「やめなさい。」


言いたい事を言い合えて、下らない会話で笑い合いる。

去年の今頃はそんな事が出来ていなかった。

廉が変わったから?そして、あたしが少しは成長したから?勿論それもあると思う。

でも、一番は『周りの人達があたし達を支えてくれたから』だと思う。

沢山の人達に囲まれ、刺激や共感出来る事をみんなが教えてくれたから・・・。

きっと、これからもっともっとあたしと廉は大人の階段をゆっくりと昇っていくんだと思う。

あたし達のペースで、ゆっくりと・・・。


大地「廉君、プリッツゲームしよ?」

廉 「やだよ、気持ち悪い。」

結芽「プリッツゲームって、どんな事するの?」

大地「お尻にキュって挟んで割るゲームです!」

廉 「プリケツゲームじゃねーかよ!!」


六月も終わりに近付き、間も無く七月。

最近一日の終わりがとても早く感じる。それだけ、毎日が充実している証拠なのかもしれない。


そんなこんなで時は過ぎ・・・。

あたし達は二回目の夏休みに足を踏み入れていた。





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