第103話 感動の後の地獄。

まこ「柚月!!なんか、凄いサプライズを用意してくれたんだって?」


授業終了早々、まこが笑顔であたしのところへ走ってきた。


柚月「何で知ってるの?」

まこ「珍しく光希からLINEが来てさ、「嬉しすぎて不覚にも泣いてしまった」って。」

廉 「俺が言い出しっぺなんだぞ。褒めたまえ。」

大地「僕は買い出し。廉君撫でて。」

廉 「どこをだよ。」

柚月「とにかく、無事終了してよかったね、まこ。」

まこ「うん。後は光希がもう一踏ん張りして、教員免許を無事もらえる事を願うだけだね。」


頑張れ光希さん。

ううん、光希先生。

沢山の生徒が、教師として教壇に立つ姿を心から願っているからね。


まこ「あーあ、なんかあたしもホッとした。ねぇ、今日カラオケでも行かない?」

柚月「あ、いいねぇ!!」

廉 「俺も行くの?」

柚月「行こうよ。歌わなくてもいいから!!」

大地「うわぁ!楽しみだね!!」


『お前も行くの?』

あたし達三人の心の声。でもまぁ、最近酷い害は無くなったし、あったとしても標的は廉だし。


まこ「じゃぁ、カバン持って来るね!!」

柚月「うん、あたし達も帰り支度しておく。」


帰りのホームルームが終わり、まこがルンルンであたし達を迎えに来た。

そして、大地君もリップクリームをふんだんに塗りたくって準備満タン。


まこ「駅前のカラオケでいいよね?」

柚月「どこでもいいよ。」

廉 「マジで行きたくないんだけど・・・。」

柚月「何で?」

廉 「ま、いいや。行こ。」


校門を抜けたあたし達四人は、何を歌うかでハイテンション。


大地「ねぇ、僕廉君の家に行ってみたい。」

廉 「やだよ。同じ種類の奴二人もいらない。」

まこ「あ、でも、結芽さんと大地、合わせてみたくない!?」

柚月「確かに!!意気投合しそう(笑)」

廉 「勘弁してよ・・・。」


「行く」「行かない」の論議をしている間にカラオケ店に到着。


まこ「二時間でいいよね?」

柚月「うん、充分だと思うよ。」


受付が終わり、部屋の番号札を渡される。


大地「廉君!!見て!この番号。」

廉 「何だよ?」

大地「19だって!!」

柚月「それがどうしたの?」

大地「やらしくない!?ヒャハハっ!!」


『やっぱり連れて来るんじゃなかった』


そう思いながらも、あたし達は部屋に到着。

四人にふさわしい部屋の広さで、マイクが二個。部屋の中にはタンバリンやマラカスが置いてある。


大地「廉君見て!!」

廉 「うるせぇな。何だよ?」

大地「股間で奏でるチンバリン!!あんっ!!」

廉 「店員呼んで除菌してもらおうぜ。」

まこ「まぁまぁ(笑)さて、何歌おうかなぁ?」


まこがタッチ画面で歌う曲を探していると、何故かアニメソングが流れて来た。


柚月「え?」

まこ「誰か入れた?」


若干一名、カバンの中からペンライトを取り出し、腕まくりをする奴がいる。


大地「ふははは!!僕をカラオケに連れて来るとは、何と勇気のある奴らだ。」

廉 「いや、お前が勝手に付いて来たんだろ。」

まこ「ペンライト、常に持ち歩いてんの?」

柚月「こわ・・・。」

大地「皆の衆、心して聴くがよい。」

まこ「ていうか、いつの間に入れたの!?」


まさか・・・、これが二時間続くのか?

『来なきゃよかった』

時既に遅し。

この後、大地君の一人オンステージが始まり、あたし達三人は強制的に拍手を要せられ・・・。


非常に不快のままの状態で、廉の家に行く事になった。



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