第84話 新学期
無事進級したあたし達は今日から二年生。
奇跡的にも、あたしと廉はまた同じクラスになる事が出来た。
柚月「ねぇ、一年おきに髪色明るくするつもり?」
廉 「おぉ、来年は金髪だ。こうご期待。」
柚月「先生に注意されても知らないからね?」
廉 「成績はお前より断然いいから大丈夫。」
新しいクラス。新鮮な教室。
去年とは違う顔ぶれが多い中、「中堅」の立場となったあたし達はこれから始まる生活に緊張と期待を感じていた。
まこ「柚月っ!!」
柚月「まこ!」
まこ「クラス、離れちゃったね。って言っても隣だからいつでも来れる距離だけど(笑)」
柚月「お昼は今までと変わらず一緒に食べようね。」
まこ「うん!こっちに来るからね。廉君、柚月の事お願いね!」
廉 「はーい。」
これから一年間、この教室で新しい学校生活が始まる。
まこと離れてしまったのは残念だったけど、また廉と同じクラスになれた事があたしはとても嬉しかった。
まこ「じゃぁ、またお昼になったら来るね!」
柚月「うん、後でね。」
まこと一旦解散したあたしと廉は、それぞれの席を探し、ひとまず腰を下ろした。
馴れない空間に何となく落ち着かないあたしに対し、廉は既に新しいクラスメイトと楽しそうに会話をしている。
柚月(廉って、クールなくせに友達が勝手に寄ってくるんだよなぁ。)
ホームルームのチャイムが鳴り、このクラスになる担任が教壇の上に立ち、簡単な挨拶が始まった。
『桂太先生が担任だったら』
そんな気持ちが頭をよぎったが、桂太先生があの時あたし達を守ってくれたお陰で存在するこの学校生活を、悔いのない様に過ごしたいと強く思った。
担任の自己紹介が終わり、今度はあたし達生徒の番。
「名前、得意科目、苦手科目、趣味」
最もあたしが苦手とする自己紹介の順番が、あっという間に回って来てしまった。
柚月「あー・・・、古川柚月です。得意科目は音楽で、苦手科目は数学。それから趣味は・・・」
廉 「俺。」
柚月「以上です・・・じゃなくてっ!!違うでしょ!!」
案の定、クラスの中から冷やかしの爆弾テロ炸裂。
初日から廉のせいで「古川柚月は松澤廉にぞっこん」という、変なイメージを強くインプットされてしまった。
恥ずかしさと悔しから、俯いたままでいたあたしに、逆襲のターンが訪れた。
廉 「あ、俺ですか?松澤廉。得意科目は・・・」
柚月「保健の授業、詳しくいうと性に関して。」
廉 「・・・苦手科目は・・・」
柚月「全部。」
廉 「えっと!!趣味は!!」
柚月「裸にコート着て徘徊する事。」
廉 「変態じゃねぇかよ!!おいっ、柚月!!」
柚月「ふんっ。」
『松澤キモい』の大合唱。
この自己紹介の時間だけで、あたしと廉はある意味クラスの人気者となった。
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