第54話 罠
りか「最高!!(笑)ねぇ、もしかして土下座、初体験!?」
柚月「これで満足した?」
りか「した。まさか、本当にここまでしてくれるとは思わなかったもんね。」
柚月「じゃぁ、さっきの約束守るってここで誓って。」
りか「・・・わかった。誓うよ。」
りかにしては、あまりにも呆気ない。
どことなく違和感を抱えながら、りかから差し出された手に一瞬戸惑ったが、あたしは素直にその手を掴み、立ち上がった。
りか「ごめんね、柚月。」
柚月「もういいから。」
りか「ずっと羨ましかったの、柚月の事が。」
柚月「・・・羨ましい?」
りか「可愛くて女の子らしくて。かっこいい彼氏がいてさ。でも・・・、こんなの良くないよね。本当にごめんなさい。」
柚月「りか・・・。」
見抜けなかった。
予想を遥かに超えて、あたしはまだまだ子供だった。
りか「本当、ごめん。度が過ぎてたね。」
柚月「ううん、分かってくれたならもういいから。」
りか「本当に最低だよね、あたし。陣内さんや廉君にも謝らなきゃ。」
柚月「まこと廉には、あたしから話しておくよ。」
りか「・・・ねぇ柚月。こんな酷い事したあたしだけど、これからは友達として仲良くしてくれるかな?」
「人はそう簡単には変われない」
ううん、そうじゃない。
「変わろうとしない人」だっているのに・・・。
柚月「・・・別に構わないけど・・・。」
りか「本当っ!?ありがとう!!」
「怖い」という自分が発信したSOSを、無視してしまっていた。
話があまりにも上手く行き過ぎていた事に気付いていたはずなのに・・・。
柚月「とりあえず、ここから出ない?」
りか「柚月、あたし達『友達』だよね?」
柚月「う、うん・・・。」
詰めがまだまだ甘かった。
考えが浅はかだった。
あたしは、りかの「罠」にまんまと掛かってしまっていた事に、気付く事が出来なかった。
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