第42話 最期の嘘

柚月「いたっ。」

光希「こんだけしっかりしてるのに、恋には臆病者(笑)」

柚月「これからが、ちゃんと学校に行きます!」

光希「お願いしますね。まこ、かなり心配してるんだからさ。」

柚月「そうですよね。まこに会ったら謝らなきゃ・・・。」

光希「それとさ、譲の事なんだけど・・・。まこには話していないんだ。だから、柚月ちゃんもまこには内緒にしていて欲しい。」

柚月「そうなんですか?」

光希「うん。譲がさ、せっかくの幸せな気持ちを台無しにしたら可哀想だって。」

柚月「譲さん、まこの事もちゃんと考えてくれてたんですね。・・・分かりました。まこには話しません。」

光希「ありがとう。譲は本当に凄いよ。三年も付き合った彼女を振ってさ。」

柚月「え!?振られたんじゃないんですか?」

光希「違うよ、逆。」


これ以上、弱っていく自分を見せたくない。迷惑をかけたくない。

未来のない自分といても、何の得にもならない。

「新しい幸せを見つけて欲しい」

譲さんなりの、彼女へ贈る、最期のプレゼントだった。


あの時・・・。

花火大会で見せた涙は、様々な感情から溢れ出たものだったのだと、今更ながらあたしは思った。


光希「それじゃぁ、俺バイトあるから。」

柚月「はい。頑張って下さい。」

光希「ちゃんと学校行くんだぞ!?」

柚月「行きます!!」


こうして、あたしの長すぎた夏休みは今日で終わり。

季節は、いつの間にか秋へと突入していた。あたしにとっては、明日からが新学期。

顔を上げて前を向いて。もう、逃げたりはしない。

そんな想いを悶々と考えたまま朝を迎え、完全寝不足状態のあたしは学校へと向かった。




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