第36話 とんだ勘違い

柚月「告白・・・って、いつの間に!?」

まこ「かき氷買いに行った時・・・。」

柚月「そうだったんだね。まこ、何となく元気なかったし、何かあったのかなって思ってたんだ。」

まこ「ごめんね、何も考えられなくなっちゃって・・・。」

柚月「まこ・・・。」


こんな時、どんな態度を取ってあげたらいいにか分からない。

それに、今のまこにどんな言葉を掛けたところで、付いたばかりの傷の痛みを和らげてあげれるのかどうか・・・。


まこ「どうしよう、柚月。」

柚月「大丈夫だよ、まこ。あたしがいるし、それにまこならきっと・・・」

まこ「嬉しすぎて涙が止まんないよぉっ!!」

柚月「うんうん、そうだよね。嬉しすぎて涙が・・・って、え!?」

まこ「え?」

柚月「うえぇっ!?そっち!?」


まさに「青天の霹靂」。とんだ勘違い。

今までのまこの表情や仕草で、まんまと失恋慰めモードの準備をしていたあたし。

危うくモードのスイッチボタンを押して加速する所だった。


まこ「そっち・・・って、どっち?」

柚月「あ、そっちはこっちに戻って来たから大丈夫・・・って事は!?」

まこ「『好きです』って言ったら、光希君が『俺も』って!!」

柚月「興奮しすぎてトイレ行きたい。でも聞く。それで?」

まこ「『付き合って下さい』って言ったら『こちらこそ宜しくお願いします』って!!」

柚月「そりゃかき氷も溶けるわ・・・。じゃなくて、おめでとう!まこ!!」


「ありがとう」

まこがそう言って笑った。

恋する女の子の笑顔って、本当に可愛い。

好きが芽生えて、想いが募って。溢れ出すその想いを相手に伝える。

言葉にすればとても簡単な様で、実は精神が丸ごと削られる勢いの大仕事。


『恋愛成就』

まこは凄い。まこは強い。

そう、素直に嬉しく思えたと同時に、何故かとても切なくも感じてしまった。


柚月「生まれる恋もあれば、消える恋もある・・・かぁ。」

まこ「誰の事?」

柚月「ううん、独り言!さっ、帰りましょう!!」


譲さんの恋が終わり、光希さんの恋が始まる。

その無限のループが、この世界中のどこかでこれからも繰り広げられて行くのだろう。

きっと、あたしと廉の行方も・・・。


まこ「明日からのバイト、更に楽しみになっちゃったなぁ。」

柚月「ちゃんと仕事して下さいね(笑)」


翌日。

「花火大会で古川さんを見掛けた」という店長への通報があり、あたしがこってり絞られている中、真子はピンクの薔薇を辺り一面にばら撒いていた。


そんなこんなで時は過ぎ・・・。

気付けば夏休みは終わりを迎え、本業である学校生活が始まっていた。


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