第7話:復讐2

 ゴリアス達は、生命力だけが強い最弱のアメーバーに変化させられ、完全に滅ぼされる事はなく、永遠に冒険者達に攻撃され続ける地獄に落ちた。

 私はそれを見届けて、自分の復讐を果たすことにした。

 これ以上国を離れていては、国に残った民だけが苦しむことになる。

 早々に母国を捨てて、豊かなこの国に逃げてきたゲッセル王太子と双子の悪女は、のうのうと社交界で遊び惚けているのだ。


「久しぶりね、復讐に来させてもらったわよ」


 私は三人が乳繰り合っている寝室に入り込んだ。

 そして恐怖の魔術を放って、心が恐怖に駆られる状態にしてやった。

 その恐怖感は、人生で初めて受ける耐え難いものだろう。


「「「ぎゃああああああ」」」

「「「ゆるして、ゆるして、ゆるしてぇええええ」」」


 だかそれで許してやるほど優しくはない。

 まずは社交界で楽しめないように、顔を焼いてやる。


「「「熱い、痛い、熱い、痛い、熱い」」」


 殺さないように、あまり深く焼かないように、痛みが最大になるように、焼いた。

 容姿だけが自慢だった双子の悪女も、これでもう誰も騙せないだろう。

 だが金が残っていたら、その金で豊かな生活を続ける、だから全ての財貨を奪う。

 家屋敷が残っていたら、そこに隠れて暮らせる、だから家屋敷は焼き払う。

 その上で、優しい誰かに救われる事ないように、犯罪者奴隷に落とす。

 自らの欲望を満たすために、家屋敷を燃やしたとなれば、厳罰は免れない。


「王都警備隊長様、この人達は私達を拷問して快楽に耽っていたのです。

 しかもその為に使っていた火でカーテンを焼き、家を燃やしてしまったのです」


 私はゲッセル王太子の屋敷に勤めていた侍女達に、嘘の記憶を植え付けて証言させたのだ。

 可哀想な事に、彼女達は本当にわずかな失敗で折檻されていた。

 それを少し脚色して、下劣な快楽のために拷問したことにしただけだ。

 これこそ嘘も方便だと思うのだが、賛成してくれる人はいるだろうか?


「今まで世話になったな、国に帰らなければいけなくなった」


「そんな、私こそお世話になりっぱなしです!

 ペルセスを探し出して助けてくださっただけでも、返せ切れない御恩なのに、元通りの姿にしてもらえて、なんとお礼を申し上げていいのか分かりません」


 ジャネルがわんわん泣きながらお礼を言ってくれる。

 ペルセスは涙を流しながら黙って最敬礼してくれる。

 ペルセスのような寡黙で情の深い男はいい、私の好みだ。

 ジャネルの恋人でなければ、付き合ってくれと告白しているだろう。

 この二人が幸せに暮らすのを見ていたいという思いが強いが、そうもいかない。

 私が母国を離れてしまうと、神の御怒りが民を苦しめてしまう。


「では、もう会えないと思うが、元気で暮らしてくれ」


 母国でペルセスのような男と出会えればいいのだがな。

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転生聖女は、つがいではないと王太子に婚約破棄追放されました。 克全 @dokatu

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