第6話:復讐1

 私はペルセスと一緒にゴリアスの襲撃を待ち構えていた。

 ペルセスの生還を知って危機感を持ったゴリアスが、盗賊に見せかけてペルセスを殺そうとしているのは、私の使い魔が悪事を相談している現場を見ていた。

 当時ゴリアスと一緒にペルセスを陥れたパーティーメンバーも、尻に火がついて仲間を連れて集まっていた。


「私に任せてもらえますか、フラウ」


 ペルセスが決意に満ちた表情で私に話しかける。

 自分の事は自分でけりをつけたいのだろう、その気持ちはよくわかる。

 それに、自分はともかく、恋人のジャネルを十年以上も苦しめた連中は、自分の手で殺さなければ気が収まらないのだろう。


「分かったは、私は一切手出ししないから、好きにやりなさい。

 ただひと言助言させてもらえるなら、簡単に楽にするのは賛成しないわ。

 長く苦しめてこそ復讐よ、できれば十年以上ね」


 私の言葉に、ペルセスは少し悩んでいた。

 誇り高いペルセスは、仇とはいえ人を拷問するような真似は嫌なのだろう。

 だが同時に、ジャネルの十年に匹敵する苦しみを与えたいという気持ちもある。

 それがペルセスを悩ませているのだろう。


「分かりました、参考にさせていただきます」


 そう口にしたペルセスの表情は、悩みを振り切った清々しいものだった。

 たとえやる事は残虐非道でも、それは正当な復讐なのだ。

 ペルセスがどんな決断をしても、それは彼にとっては正しい選択なのだ。

 もし甘々な復讐だったとしても、私がとやかく口にすべきことではない。

 私の復讐に他人が口出しすれば、私は絶対に許さないだろう、それと同じだ。


「「「「「うぎゃああああああ!」」」」」


 ペルセスの復讐は残虐非道なモノだった。

 私が身体に埋め込んだ魔晶石と魔力増幅魔法陣、それをカード魔法陣で活用して、仇の一味を制止の魔術で動けなくした。

 痛みも軽減される麻痺の魔術を使わなかったところが、ペルセスの決意だ。


「許してくれ、もう許してくれ、全て話す、全て話すから裁判を受けさせてくれ」


 拷問の痛みに泣き叫ぶゴリアスだが、ペルセスは許さなかった。

 ゴリアスだけでなく、一味の誰ひとり許さなかった。

 人数が多いだけに、手間をかけて拷問できないから、最初に殺さない程度の風魔術で身体を切り裂き激痛を与えた。

 次に同じ風魔術で砂を巻き上げ、傷口を削って更なる激痛を与えた。


 だがそれだけでは終わらず、火魔術で傷口を焼き、出血で死ねなくすると同時に、火傷の激痛を与えた。

 その後でまた風魔術で砂を巻き上げ、火傷を削って火傷で死ねなくした。

 更に石を頭以外にぶつけて、身体中の骨を砕いた。

 そんな拷問を周囲に気付かれないように明け方まで繰り返し、最後の最後に最弱の魔獣、攻撃力のないアメーバに変化させた。

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