魂篩
安良巻祐介
錆の浮いたモンデンケンの篩を抱えて、大通りから髑髏通りのほうへ入ってゆくと、魚の瞳をした鉄皮人がぎこぎこぎこと歩いてきて、手に掴んでいたものをざらりと篩の上へ空けた。
髑髏通りの陰鬱な薄暗さの下、きらきらと光りながら篩にかけられたこの町のさまざまなコイン、人々がこぼしていった金貨銀貨銅貨は、細かい網の目にかけられてざらざらした光の砂となり、路地裏の地面へと降り積もった。
鉄皮人がその瞼をヒトヒトと開け閉めしつつ、砂を口の中へ吸い入れているのを眺めながら、魂としての通貨を篩にかけて出来損ないの辻待ち悪魔へ給仕するこの仕事が、この町の滅ぶあと百年ほどは平坦に続くと思うと、うんざりしてくる気がするのだった。
魂篩 安良巻祐介 @aramaki88
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