Quanji-33:厳正デスネー(あるいは、唸れ×戯王/イナアウター)
♢
想定外の局面に、僕らは
でも先ほどの「各々タイマン戦」……それは向こうさんにはすっぽり筒抜けなはずだ。「
何か混乱してきたぞ……落ち着いて考えろ……考えることを放棄したら僕はおそらくダメだ。そこそこ出来ることといったら、ほんと、それしかないのだから……
いや待てよ?
そうだよ落ち着いて考えれば「平常心」……それを保ちきれば……負けは無いと、そういうことでいいのかな? 改めて考えてみれば、それはいかに「カードバトル」で負けと判定されようと、「負け」では無い……そういうことにならないか?
そうか……逆に考えるんだ。先ほど離れ業的な「
フフフフ……であれば……であるのならば!! この僕に死角は無いと、そう言っておこうか……なぜなら、
「……」
今までの、不遇なる日々が甦る……決して裕福では無い家庭……どうともならない身長……努力しても一向に伸びない成績……甘味度ゼロの青春……そしていわれなきイジメまがいのイジリ……いつしか僕は、望む望まないにかかわらず無表情と半笑いの中間のような顔つきで、自分に降りかかる全ての事を無感動でいなし交わす術を身に着けたのであるのだからッ……フフフフ……よってッ!! この対局でこの
哀しいまでの覚悟は、僕に勇気を与えてくれる。とてもいい顔で僕は「台」の上でぐいと左肘を張ると、半身に構えて右拳をとん、と軽く打ち付けて目の前に座る
「互いの持つ『
当のその美麗なる女性は、「台」の上にしなだれかかるようにして上体、さらに言うと藍色の薄手のドレスに包まれただけの双球をむにゅりと強調してきたわけで。
<PLAYER1:平常心乖離率『78%』……注意サレタシ>
無情なる平坦な機械音が、僕に注意を促してきとる……あかんあかん、ボクそんな甘味に慣れてないから!! おおお落ち着けこれで負けたら洒落にならんんん……ッ!!
刹那★だった……
「……!!」
左頬に、僕を冷静にさせるに必要充分な、そんな澱むような痛みが与えられてきとる……これは多分「
つまりは、アクティブに平常心へと引き戻してくれる「痛み」であるわけで。深呼吸もかましたら、「乖離率」とかのたまってた数値はひと呼吸ごとに40、20と収まっていく。
「……」
もちろん僕も今度は迂闊にダリヤさんの方に目をやるなんて愚行はおかさず、ふぅん? みたいな、こちらを探るかのような妙齢さんの銀色の視線にも臆することなく、ただただそんなことでは揺るがせられませんよ的な余裕ヅラにて相対する。
<助かりました援護痛み入ります(十四文字)>
<あんな垂乳目じゃねえからなこちとら(十七文字)>
「何とかツイター」でのやり取りは、多分にダリヤさんのは自己顕示を含んでいて、想起してしまったその双球の質感にまたも乖離率を振り回されそうになる僕がいるけれど。落ち着け、落ち着くんだ。ポーちゃん……
そんな、目と鼻穴が不自然に開き切っているだろう僕の少し落とした視界の中に、
「……」
トコトコと、そんな足音が本当に聴こえてきそうなほどにそれはトコトコと、小さな
青銅色の
「……双方が提示したカードに書いた『
いまやもう「愉悦」そのものの表情を隠さなくなってきた妙齢さんの、不気味に凪いだ声が台の向こう側から響いてくる……いやヤバいんじゃないのそれ。
どんどんのっぴきならなくなってくる状況に、
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