Quanji-28:軽快ですね!(あるいは、軽く舞い/重く刺すメンタル/フェザー級)
♧
おーう、先ほどから、それが
辺りを改めて見まわしてみると、360°見渡せるほどの遥か遠くまで大海原……これは見た事の無い……と言いますか、何とも現実味の無い、強いて言えば「アリエナイ」光景ではありますね。そして私たちがいるのは、1
「……んんんんん、『
私のお相手であるところの華奢なる
薄灰色をした垂れ耳犬の帽子を被った少女がそう言い放ったと同時に、その水平に伸ばした両腕が、服の袖ごと「変化」してきました。羽、いや「翼」……? 灰色地に黒をまぶしたかのような巨大な翼は、羽ばたきも見せずに、軽やかに水平に広げられると、次の瞬間、その持ち主の身体をふい、と空中へと浮かばせるのですねー。動きも緩やかに。ゆえに
「……!!」
そのままスカートの裾を翻し純白の何かを眼下の私に見せつけながら、急上昇した少女さんはぐるり垂直回転をきめると、次の瞬間。ほぼ真っ逆さまに私の方へと落ち飛んできますです。
「……んんんんモデル<
その途中で。いきなりその張り出された両の翼がくすんだ色から純白へと変貌を遂げるのですねー、見た目の美しさをも孕んで。いや、そんな見入っている場合ではないでしたねー。
「!!」
白い、羽毛が、ひとつずつひとりでに抜け落ちると、それら全ては私目掛けて軸先をこちらに向けて、勢いよく「発射」されてくるのでありますねー、アブナイーッ!!
岩肌にお尻を擦り削ってしまいますのですけれど、何とか体を捻ってその「羽毛」の群れの、密度高いらへんのところからは身を躱しますのですねー。でも全部が全部
「……!!」
ワイシャツを突き破って真白い羽毛が私の腕の至るところに突き立っております……痛い、これは結構深いところまで……動かそうとすると筋肉の部分に鋭い痛みが来ますねー、これはまずい、本物です。本物の痛みです。
いい加減、私も自覚するべきですねー、この荒唐無稽が
「!!」
そんな考え事に捉われていた私の右肩に、今度は黒い羽が二、三突き刺さってしまうのですねー。今度はじんわり鈍く痛いですのねー。いけません、これはいけません。
とりあえず両手で顔をかばうようにして、ほうほうの体で少女さんと距離を取ろうと駆け出しますですが、動けば動くほど肩や腕の痛みは強くなりますねー。
「モデル<
上空から、手負いの獲物をいたぶるかのように、命中させる気のなさそうな羽毛が断続的に私の周囲に撃ち込まれ降ってきていますね……何と言うか、こちらの少女さんは、何でか諸々心の内を吐き出したいかのようなそんな雰囲気を醸していますねー、無理あった語尾もいつの間にか潜まってますしねー。聞いてあげた方がよいのですかねー。幸い私には妹たちがおりますで、結構話は分かるかと思いますですが。いや、「わかってないよ」と言われることの方が最近は増えてきてましたですかもねぇ……
「ヅオンさんは<
降り落ちてくる少女さんの言葉に、どこか哀切のような暗いニュアンスが含まれていくと思った矢先のことでした。
「……始末させてもらう」
モデル<
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