Quanji-16:遺憾デスネー(あるいは、坩堝ティック/無限ハイ↑ロー↓)
エンドーさんから
「……」
「ピラミッド」へと向かうことが出来ていたのではあった……しかして。
「……あ、あのさ、言うて『敵さんの根城』なわけだよね……てことはその何とかっていう『月の七曜』の下に強大な戦力が控えているって考えておいた方がいい……? のこのこ出向いていって取っ掴まって……とかは避けた方がいいんじゃ……」
沈黙の行軍にいち早く耐え切れなくなった僕が、眼前を無駄に螺旋を描きつつ飛ぶ妖精ちゃんの忙しなく羽ばたく背中に声を投げかける。けど。
「……」
あれ聴こえなかったかな? 反応無し。でもそれにしては能面のような顔でちらちらと僕の方を振り返ってくるけど。ん? もしや。
「……ねえ、カナエちゃ」
「YES、マイマスターッ!! その辺は心配御無用、『
うん……それはかなり「
「注意すべきは『
だいぶ敵陣容が明らかになってきた。能力
視界が開けた。
みたいに、ついつい思考が
刹那、だった。
「フッ……ここは俺に任せてもらおうか……本邦初御目見えの我が『流刀殺法』にて……んんんんブッた斬ったらぁぁっぁぁぁぁぁぁあああああッ!!」
こっちも何かニヒルを上書くような変なスイッチが入ってしまった
開幕早々、尊い犠牲を出してしまったことに、しかしその事にそれほどの罪悪感を覚えていないことに罪悪感を覚えるという精神の入れ子構造に振り回されるかのように僕は、ただ僕は、砂埃の中に滲んでいくその骨ばった学生服の背中を見つめるしか出来ないのであった……
しかし、
「……<刀>の呼吸」
眼鏡がそんな不穏かつ不必要と思われる事をのたまったと思った瞬間、
「『
その手にした黒玉からは東映的な
いやでも凄い……ここまでのものなのか「
「割と理解が早いのですねあの眼鏡……『四字熟語』……正式名称『フォーキャラクターイディオム』、字数が増えるごとにその威力も増すといった応用技術を端から使用してくるとは……そして使用するごとに『寿命がひと月』縮まるにも関わらず臆せず振るってくるなんて……これは手駒として用途が広がりましたぞマイマスターッ!!」
その爽快光景に被せるように言ってきた妖精ちゃんの喜悦を孕んだ声に、それ聞いてなはぁぁぁい、との断末魔のような金切り声を上げつつそれでもピラミッド入り口まで一呼吸で駆け抜けた眼鏡氏に、続けとばかりに僕らも仰臥累々の鎧かぶと達を避けつつ跳び越えつつ走り出す。
うん、確かに身体が思った通りに軽やかに動く……そして「能力」も結構縦横無尽だ。これならいけるかも……かな、カナカナカナ……「
……こうして遂に、なし崩し感ありありながらも、僕らの冒険の、戦いの火蓋が。
切って落とされたのだった……んんんんどうなるッ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます