Quanji-07:現金デスネー(あるいは、飴状の鞭が/柔肌を打擲/それが飴音)
「あんな、
そんな、頭も体も膠着状態の僕を尻目に、一同はいったん自分の席まで戻され、そして再び玉座に仰臥するように座った猫神様から、そのようなまた定まらなくなった言の葉がぶつけられてきたのだけれど。きっと
「彼奴等……『七曜』のヤロウ共は、どいつもこいつも度外れた『
猫神様は何か気に入っているのか、アンニュイ感を殊更に出しつつそんな言葉をつらつら並べてくるけど、思い出したように入る語尾も含めて定まらんなあ……でも「七曜」と聞いて思い当たるところがひとつあった。記憶はあまり確かではないけれど、占星術とかその辺の用語だったはず。そして「曜日」のもととなった天体を表すもの、だったとも思う。
つまりは、「日月火水木金土」。そして改めてそれらの字が「部首」を為した時を考えてみると……うん、強そうだ。というか最強部類に入るよねどれも……
「火」は先ほど考えた通り汎用性ハンパないし、「水」……「さんずい」なんてそれだけでいくつの該当文字があるか思い出しきれないほどだ。他も大なり小なり色々持ってそう……僕の「
「でも!! 集団で各々の長所短所を補い合いながら戦うことで!! いいとこまでいった前例があるんだなこれが……そしてこれは豆ニャンだけど、奴らのうちの一匹でも倒すことが出来たのなら……あなた方は元の世界に戻れるという摩訶不思議な寸法なのです……」
標準語をのたまう時はえてして胡散臭さが倍増するような猫神様なのだけれど、先の殺人(未遂)光線のおぞましい威力を目の当たりにした僕は、戦うなんて何か物騒だな、うんもうただただこの悪夢がどこかでふつりと醒めてくれないかな、くらいのまたしても消極方向へのベクトルへと思考は揺蕩ってしまう。さっきまでの熱情が、ひどすぎるヒキにより完全霧散させられたかのような……そんな中、
「……別に、此処にずっと居てもいいんだけど、てか何でそこまで指示?」
僕の真後ろから、そんな小悪魔的な少し鼻にかかったような声が沈黙の空間に響き渡った。この声……僕をなじった時ほどの悪意は込められていないものの、無関心で何か別の感情をくるんだかのようなこの感じは……遠藤ダリヤだ。そんな席配置だったのかと、後ろを振り返ってその美麗な姿を視認しようとしたけれど、それよりも速く背もたれ辺りに衝撃が走って僕の身体は椅子と机の間に挟まれてしまう。ぐえ。
み、
「……そして一匹斃すごとにこの世界の通貨であるところの『1億
その美麗な声を聞かなかったことにしたのか、猫神様は不自然なほどの笑顔で進行を続けていくのだけれど。
「はっカネだって、くっだらね」
吐き捨てるように、小馬鹿にするように、聴こえるか聴こえないか微妙な声量で放ったその言葉が、静寂の中、思ったより響いてしまったわけで。
「……!!」
慌てて前方の猫神様の動向を確認する。笑顔だ。満面の。ヤバい。そして猫顔面の中でそこだけが笑っていない両眼の少し先辺りに、のっぴきならない水色の「光」が収束していくのを確かに見て取った。
まずい!! このままでは遠藤ダリヤの美麗なる体に点在する全ての痛点を、あの凶悪な「光線」が貫いてしまう……!! さっきの眼鏡坊主は無駄に助かったけれど、
よし、ここでこの悶着を僕がッ!! 引き受けてそして穏便に収めることによって!! 猫神様そして遠藤ダリヤからの信頼を勝ち取りッ!! 異世界ハーレムの礎をぉッ!!
とか、柄にもなく腹に力を入れてこの場を打破する声を上げようとしたものの、僕の身体をいい感じで苛んでいた束縛がいつの間にか緩んでいたことに気付かず、勢い余った僕はつい、と立ち上がってしまうのだけれど。
それがいけなかった。
「!!」
既に遠藤ダリヤ向けて発射されていた
ウワァーッ!? ウワ、ウワァァアアッ!! ウワァァァァァアアアアアーッ!!
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