やはり平凡な何気ない日常

「…だよ……お兄ちゃん起きて!!朝だよ!」

「………ん」

 妹の声がする。もちろん3次元の。

 僕の名前は、平川凛(ひらかわ りん)。高校2年生だ。

「……ってなんで妹に向けて自己紹介なんてしてるんだ………」

 寝ぼけてるのかもしれない。まあいいや、おやすみ………

「早く起きないと、学校に遅れるよ!!」

「はいはい、今起きるよ……」

「もう、しっかりして!!これじゃあどっちがお姉ちゃんだかわからないよ!」

 こんなにしっかりした妹が姉になっても、それはそれでいい気がする。少しは見習おうかな。あー眠い。



「あ、平川君、おはよ。元気?」

「あ、山下君と西本さん、おはよう」


 学校に向かって歩いていると、山下君と自転車に乗っている同じクラスの西本さんとに会った。西本さんたちとは、こないだの土曜日に会って以来である。

「さっき遥と会ったの。もう少しゆっくり歩いたら?」

「……そうしようかな」

「確かに。じゃあ、私は先に行くねー。またねー」

「はーい、じゃあね」


 西本さんたちはそう言って、去っていった。僕はのんびり行くことにする。




「凛!おはよー今日もいい天気だね」


 歩いていると、幼なじみに会った。

「……遥、おはよう。今日も元気だね」

「まあね、それが私の取り柄だから!大好き!」

「ありがと」

 跳びついてくる。いつものことなので、驚かないけど。止めても無駄だし。無駄にテンションが高くて、僕が黙っていても変わらない。うれしいが、引きはがして、話しながら学校まで歩いていく。




 つまらないので授業は省略。3回ほど、遥と目が合った。




「凛ー一緒に食べようぜー」

 昼休み。昼ごはんは購買でパンを買っていると、友達の怜児に声をかけられた。

「うーん、今日はパスで。先約があるから。じゃあ僕は、中庭、に行くね。じゃあね」

「あー了解。中庭な。」

 怜児は去っていった。


もちろん、中庭には行かない。教室で食べるつもりだ。だって覗きに来るだろうから。


「遥、おまたせ」

「全然待ってないよ!あと、今日は天気もいいし中庭に行こ?あそこあまり人いないし!」

 裏目に出た。

「ほら、早く!」

「はいはい、了解」


中庭に着いた。そこにいたのは、西川さんと山下君だった。この2人って、やっぱり付き合ってるのかな?


「あれ?結じゃん!奇遇だね!密会でもしてるの!?」

「あ……」

「俺たちは、飯を食ってただけだけどな」

「どうせなら、4人で食べない?」

「まあ、僕は構わないけど……」

「(えー翔太に甘えられないじゃん)……まあ、いいけど」

「よし、じゃあ5人で食うか」

「しれっと混ざるな怜児」

「えっと……河野君だったっけ。まあ、私は構わないよ!」


今日は、5人で食べた。


「よし、帰るか」

「凛、帰ろ!!」

 放課後。今日は部活がないので、まっすぐ帰ることにする。後ろは決して見ない。何も聞こえない。

「一人で帰ろう。うん、一人でね」

「りーんー帰ろー」

 前だけを向いて帰る。

「聞こえてないの?家も近いんだし、一緒に帰ろうよ!」

「……わかってるよ。ちょっと気づかないふりをしただけ」

「やっぱりーいつもそうじゃん!」

「うーん、やっぱり面倒くさいから先に帰っていい?」

「じゃあ、妹に言いつけちゃうよ?」

「その脅し文句聞き飽きたけどね。わかったよ」

 まあ、遥のことは嫌いじゃないから。

「もうすぐテストだけど、成績はどん……」

「宿題とか予習とか復習とかしてれば……」

「私あんまり自信ないから、一緒に勉……」


 そのまま一緒に帰った。まあ、一人で帰るよりは楽しかったからいいけどね。


 

 夜、今日の復習と明日の予習をした後、妹の宿題を手伝っている最中に電話がかかってきた。


「私、わたしだよー」

「詐欺なら間に合ってます」

「うん?さぎー?わかさぎ?」

 ノリ悪いな。っていうかこの声は……

「西川さん?どうしたの?」

「相談があるの」

「何?」

「私……………」

 



 これが、僕の平凡な何気ない日常である。

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平凡な何気ない日常(仮) 山目舜 @Yamame3935

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