第6話 一人称のメリット・デメリット

一人称のメリットとは何かと言われたら、それは主人公ないし全ての登場人物の心情心理を細かく表現できることにつきる。それにより多くの素人作家が使われる理由だと思います。

 特に恋愛系は主人公とその攻略相手のヒロインを描くにおいて心理を表現する事は必要不可欠なので取り入れる大きな要因かと思います。

 しかし三人称よりも制約が多く、表現するのにストレートに出来ないといったデメリットもあります。


 そんな一人称ですが参考になる作家と言えば西尾維新です。皆さんご存知ですね。

 この方は本当に独特で、化物シリーズをアニメで知り読むわけですが、まぁ見事です。

 で読んで思うわけですが一人称なのに神視点のような表現です。なぜそう思うのか? 主人公が語る形式だからです。

 私は勝手に一人称神視点の作品と言ってます。一人称で神視点はダメではないかと思うがあれは語り手が主人公でありナレーターであり、つまるところ作者だからだと分析してます。

 まるで読み手と同じ目線で語るように地の文を書かれてて見事としか言いようがない。

 あの作品は常に主人公の視点です。それを絵本や昔話のように語るのです。桃太郎とか、子供の頃読んだ童話を想像して下さい。ナレーターのように地の文を読み手のように暦が語る。タイトル通り物語なのです。(ここでタイトルで語ったのが少しわかるかと)


 なろう作家を夢見ている者にとってこの方に影響を受けた方、そして目指している方は多くいると思いますが、知る由もないとか書いてしまうのは多くの作家が勘違いしてる要因はこれじゃないかと思う。勝手な推測ですがね。

 なので一人称を書きたい恋愛系や主人公を際立たせたいファンタジーの俺様ツエー系書きたい方は今一度読んでみればいいと思います。


 あとは漫画でもありますが前回も言った『 I's 』ですね。主人公の心理とか細かく書きたい方は読んで参考にし下さい。


 一人称を書くにあたって主人公の心理を書くのは当たり前ですが、ヒロインや他の登場人物の心理をどこまで書くのかを決めることは、とても重要な題材です。物語の内容によっては書くと蛇足になるし、書かないと逆に面白くないなどになる可能性もあります。


 そこで私なりのその決め方として、まずお互いの心情心理を書いて問題がないのは、男1人女1人である作品と思います。ただこれも例えば幼馴染で両片思いでアプローチをすでにどちらともなくしているがすれ違いしてる物語だけかもしれません。

 すれ違いの有様を表現しないといけないのだから心情心理を書かなければ物語として機能しないからです。片思いであっても書けなくはないけども読者に伝えすぎると薄味になりがちです。


 逆に書いてはいけないものはハーレム系かもしれません。あとは進学や何かの出会いからどちらかが好きになるパターンでしょうか。

 好きな人がいる、または多様な異性から言い寄られ右往左往するハーレム。進学、進級し、そこにいたヒロインに一目惚れもしくは好意を持った片思いの相手の心理。

 この二つは相手がどう思っているかわかると物語として薄くなると思います。理由としては攻略出来るか否かを主人公となり読者もハラハラドキドキする物語だと思うからです。ハーレム物の場合ヒロインの心情を書くのならば、片思いならば告白をさせてから過去を振り返って書き、以後書き続けるや、主人公かヒロインどちらかを微妙に隠すなど工夫がいると思います。

 そうなると三人称が適切だったりするのですがそこは別途述べます。



 ここまで恋愛系を話しましたがバトル、ファンタジー物語はどうなのか。

 これは前回言ったように、50~100話以下の短編かそれ以上の長編かで別れます。前者は一人称、後者は三人称です。それでも総じて三人称の方が良いと思います。

 その理由は前述にて述べた通りです。現状どのジャンルでも一人称で書かれてるので意見するとなると、私も正直難しいです。


 冒頭で書いた通り、細かく心情を書けるので流行りの復讐・ざまぁものならば有効ではと思います。極論言うと恋愛と逆の感情を書くだけだから書けなくはないはず。

 ただ注意が必要で、伏線を書く際に書けないことがありすぎるので表現を気をつけなければならないのが難点。それに加えどうしても他者の描写を書かなければならなくなるはずなので作者の技量を問われます。一般小説には異世界転生のようなものがあまり無いし、あったとしても読んだことが無いので持論を述べるのが難しい。

 ファンタジーはミステリー推理小説に近いものがあるのでそういった作品を参考にしたらいいかも知れません。ただ三人称のはずなのでどこまで参考になるかは微妙ですが……。



 まとめると、メリットは利点である深い心情心理をどれだけ掘り下げて表現し、読者に登場人物への依存ないし共感させられるか。それが一人称物語の醍醐味であると思います。心情を描写するのに戸惑ってはいけません。掘り下げてなんぼです。中途半端なのは共感し難いだけです。利点を最大限活用しましょう。


 デメリットは表現するのに思っている以上に出来ない事が色々ある。心情を掘り下げてかける反面やりすぎるとキャラ設定のブレが起き、性格の破綻が起きる可能性がある。


 以上が一人称の作品に対する私の見解です。上記の例で挙げた逆のもので成功した作品もあるので、あくまでも一人称を考えた場合の一般的な傾向であり、私の独断と偏見なのであなたなりの一人称の表現で良い作品を生み出してください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る