第2話 K太郎とはなんぞや(2)

 夏が終わった。

 秋が深まったM市は15時30分ともなればどこか薄暗い。

 本日の休みが終われば、明日もまた仕事だ。

「いやだ」

 口に出てしまった。

 K太郎思わず歩きながら口に出してしまった。

 デケェ独り言を言ってしまった。

 すれ違うカップルが「何こいつ?」というような目でK太郎を見た。


 そう!K太郎はこの独り言が悪い意味で得意技であり、必殺技なのだ。

 K太郎に友達が非常に少ないのも、この独り言の効果なのだ。

「なんだよう」

 再び口に出し、そして気を取り直したK太郎は改めてズンズンと歩き続ける。


 スマホの時計を見ると、15時50分。

 居酒屋の開く17時まであと一時間と少し…どこかのATMでお金を下ろし、最寄りの本屋で立ち読みをすればあっという間に過ぎ去る時間帯だ。

 街路樹の根元にある草の中から、少々早いがコロコロとコオロギの鳴き声が聞こえてくるのだった。

              〜続く〜

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大丈夫じゃないやつ 〜K太郎の大冒険…局地的なやつ〜 @kyudo

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