ストレリチアSS 甘くて甘くないクリスマス?

クリスマスSS 瑠衣 風

クリスマスSS 瑠衣 風


クリスマスイブ。家族、恋人、友人、職場、千差万別で過ごす人は違うであろう。とある国では恋人では無く家族で過ごすと言われているぐらいだ。

小鳥屋である[ポルトボヌール]は、クリスマスイブで大忙しだ。


「ありがとうございました〜!!」


「お疲れ様です。」


ホッと瑠衣は一息つくと背後には風がいて声をかけてきた。


「お疲れ様です!クリスマスイブってこんなに忙しいんですね。」


「イブだからね〜。うちも書き入れ時だからね〜頑張って働こう!」


「はい!」


「小戸森さんはクリスマス予定は無いの?」


「残念ながら‥。今年は一人暮らしなので、家族で過ごす事も無いですしね。」


「もし良かったら、今夜付き添ってくれないかな。頼みたいことがあって‥」


少し顔を赤らめて風が頼み事をする姿に、

瑠衣も照れてしまって激しく動揺する。

「えっ?!私で良ければ‥。」


「良かった〜助かるよ!」


風は安心した様な喜んでいる様な何とも言えない表情を浮かべた。


「じゃあ仕事終わり次第連絡します!栗花落さんの方が今日は早く終わりますよね?」


「うん!連絡待っているよ。」


(クリスマスにお誘い。っていうか誰か過ごすこと自体久しぶりだからドキドキするなぁ。)


それからずっと瑠衣はドキドキしながら忙しいイブの仕事を終えると、スマホを取り出す。


「お疲れ様です。今仕事終わりました(*´ー`*)」


「お疲れ様!ポルトボヌールの近くの公園で待っているよ。」


急いで瑠衣は公園へ向かうとベンチに座っている男の子がいた。チェックのパンツにネイビーのマフラーに黒のニット、今時の若者らしいおしゃれな姿に瑠衣は少しドキドキしながら声をかけた。


「あの‥お待たせしました。」


「いやいや今来たところだから気にしないで。さあ、行こうか!僕の家すぐそこなんだ。」


「えぇ。今から栗花落さんのお家に行くんですか?!」


「ん?何か問題あるかな??」


「いやいや私が行っていいんですか?」


「家が大変なんだよ〜ちょっと助けを借りるよ。」


「それは大丈夫なんですが‥。」


そんな話をしながら歩いていると風があるアパートの前で止まったのでここが家のようだ。


「どうぞ。散らかっててごめんね。」


「お邪魔します‥。」


瑠衣は靴を脱いで入ったまでは良かったのだが、広がっていた光景に目を丸くした。


「あの‥?!これは!?」


「これがヘルプの理由だよ。」


部屋のテーブル一面にケーキに、ケーキにそれからケーキ。


「こんなに沢山のケーキどうしたんですか?!」


「知人がケーキの営業をやっていてね、ノルマが間に合わなくて大量に買ってきたんだけど、僕1人ではとても食べきれなくって。」


「それでヘルプ依頼を‥。」


「そういうこと!少しずつで良いから食べて帰ってくれるかな?」


「勿論。でも食べるの遅いので時間はかかっちゃいますけど。」


「ありがとう〜!!!小戸森さんがいてくれて良かった!」


「さぁ朝までに沢山食べないといけないので急ぎましょう!」


「うん!」


この後2人は無事ケーキの山を完食したのだが、お腹を壊して体調崩しながら仕事をしたのはここだけの話にしておいてあげよう。


「もうしばらくケーキはいらない!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ストレリチアSS 甘くて甘くないクリスマス? @kayuu773

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る