学校一美少女と口移し
「キスって凄いですね」
ファーストキスを済ませた俺たちは余韻に浸っていた。
唇には数分前にしたキスの感触が未だに残っており、また雪音の唇を味わいたいとも思ってしまう。
始めての口づけの相手である雪音を見てみると、自分の唇を触っていた。
よっぽど良かったのだろう。
「もっとしていい?」
「はい……んん……」
今回のキスはさっきより唇の感触が感じられる。
たまに漏れる声がとても可愛く、キスを止めれる気がしない。
罰ゲームで付き合わされているだけなのに、こんなキスをしてしまっては本当に好きになってしまいそうだ。
ダメだとわかっているので自重しなければならない。
でも、キスはさせて貰えるから今はいっぱいさせてもらう。
「大くん……」
蕩けたような表情になっており、雪音のこんな可愛い顔を見れたのは俺だけだろう。
普段は無表情というわけではないがクールな雪音は、俺の前では甘えてきたりする。
普段とギャップが可愛くてしょうがない。
「最初は雪音からしてきたんだし、俺にされても文句言えないでしょ?」
「そう、ですけど……大くんにキスされたら勘違いしてしまいますよ」
視線を外して何やら小声で呟いているが、どうでもいいことだ。
今は何も考えずにキスの余韻に浸っていたい。
「夜もカレーなんだよな」
「そうですね。家の鍋にまだ残ってますし」
朝も昼もカレーを既に食べているので正直飽きてきた。
食べれなくはないが、出来ることなら他の食事がいい。
「そうか……せめてカレーの他に何か一品追加しないか? サラダだったり」
「カレーに野菜は入ってますよ」
「わかっているけどカレーだけはちょっと……」
いくらカレーがどんなに美味しかろうと、三食連続は無理だ。
何かしら口直しをする食べ物なければしんどい。
「朝はパン、昼はご飯にしましたし、夜はペンネを入れますか?」
本当に雪音は天然過ぎる。
パンやご飯、ペンネを入れたところで味は変わらないから飽きてしまう。
そのことを雪音は理解出来ていない。
カレーであれば問題ないように思っていそうだ。
ハッキリとカレーは嫌だと言ったら逆にカレーが続きそうだし、かと言って雪音の美味しいご飯食べてしまってはコンビニなどで買う気は起きない。
なんとかしてカレー以外の料理を作ってもらわないといけないだろう。
せめてガッツリ味付けされた料理が何か一品あれば大丈夫だ。
「雪音の色々な手料理を食べてみたいな」
「色々なカレー料理ですか?」
違います。
何で全てカレー料理前提なのだろうか?
昨日はミートソース味のペンネを作ってくれたのは? 何で他の料理を作ろうとしいないのだろうか?
もうわけがわからないよ。
「俺たちは恋人同士なんだし口移しで食べさせてもらいたいな。カレーは口移しに向いてない」
「口うつ……」
一瞬にして雪音の顔が真っ赤に染まった。
キスまでしたんだから口移しだって出来るはずだ。
カレーを避けるためには口移しが出来るような料理にしてもらうしかない。
「そう、ですね。私たちは恋人同士ですし、口移しも必要ですよね」
必要ではないが、口移しでカレーが回避出来るなら俺はする。
「では作って来ますので、一度家に帰りますね」
もう一度軽くキスをしてから「わかった」と頷き、俺は雪音から離れた。
☆ ☆ ☆
「カレーフォンデュ……」
家に戻った雪音が持ってきた料理は完全にカレーだ。
余っているから使うのはわかるが、カレーフォンデュとは完全に予想外だった。
確かにフォンデュなら野菜や肉を液体につけて食べるから口移しは出来る。
「違います。チーズカレーフォンデュですよ」
確かにチーズは入っているが、最早一緒にしか思えない。
出来ることならチーズとカレーを分けて欲しかったのが本音だ。
どうして何が何でもカレーにしようとするのだろうか?
本当に俺のことをカレー中毒にしたいのかな?
「さあ食べましょう」
「ああ……」
今日の晩御飯もカレー尽くしになってしまった。
予想していなかった俺の負けで、諦めてカレーフォンデュを食べるしかない。
「はい、んん……」
スティック状切られた人参を口に咥えた雪音は、俺の前に顔を持ってくる。
今にもキス出来そうくらいに近い距離になってカレーの匂いしかしない。
食べるしか方法がないので、俺は雪音によって咥えられている人参を食べる。
とても美味しいが、朝と昼に食べたカレーに少しチーズの味がするだけ。
カレーの味が強くて人参の味がほとんどしない。
「もしかして雪音って野菜苦手か?」
「ソ、ソンナコトナイデスヨ」
棒読みで言われたら、野菜が嫌いだと思わざるを得ない。
嫌いな野菜もカレーと一緒なら食べれるのだろう。
カレーと一緒になら食べれると言ったのは本人の体験談だったようだ。
雪音は認める気がないようで、「野菜は嫌いじゃないですからね」と呟いている。
別に野菜嫌いであってもどうでもよく、俺は「わかった」と頷いて再び口移しをしてもらう。
次はフォンデュ用にカットされた鶏肉で、カレー味じゃなかったらな……思いながら食べる。
もちろん美味しいが、次は唐揚げで食べたい。
「大くん、次は私に口移ししてください」
「俺もするの?」
「はい。私も食べたいので」
頷いて俺はあえてカレーをつけずに人参を咥えて雪音の口元へと持っていく。
「あの……カレーは?」
「野菜が嫌いじゃないならこれでもいいかなって」
「ごめんなさい。人参は嫌いです」
呆気なく野菜が苦手だと認めたので、俺は人参にカレーをつけて咥える。
頬を赤らめている雪音は、耳辺りにある髪をかき上げて人参を食べていく。
今日の晩御飯は口移しし合って食べるのだった。
学校一の美少女に子供が出来るまで罰ゲームで付き合うことになったと言われ迫られてます~本当に罰ゲームで俺に告白したの?~ しゆの @shiyuno
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。学校一の美少女に子供が出来るまで罰ゲームで付き合うことになったと言われ迫られてます~本当に罰ゲームで俺に告白したの?~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。