○○さんの小説の予告・宣伝まとめ(週刊カクヨム企画)

とざきとおる

(見本)戸﨑亨さん:少女の運命の出会いは、世界が影に浸食される始まりだった。

 誰もが傷つかずに生きられる幸福こそが正義と理解しながらも、利を得ようという欲望が、もしくは競わなければ腐敗するという人類の怠惰性が、あるいは誰かを許せないという嫉妬や怒りが、戦えと焚きつける。武力、言論、政治、経済、何をもって争うかが時代によって変わるだけ。


 聖人や純粋な少年少女の中には、時に醜く見える人間の業を見て、思った者もいただろう。


『もしも私が、魔法が使えたのなら、あんな愚かなことなんてやめさせて、みんなが幸せな世界を作れるのに』


 彼らが夢見るのは美しい世界。誰かを憎まず、誰かが理不尽な理由で傷つくことはなく、その世界はきっと美しいものなのだろう。


 しかし。もしそのような『魔法』を人類が有したとしても、それは決して平和のために使われることはない。


 ――それはたとえ自分の想像が現実化する、奇跡を手に入れたとしても。





 万能粒子テイル。己の想像が現実となるこの世界。


 その世界は、テイルの力で発生し、神にもっとも近いとされる生物と言われた〈人〉と、その〈人〉の間で、彼らの奴隷となりながら生きる人間が住む世界となっていた。


 四十番こと、明奈もまた、13歳となった年度の春、倭の孤島、源家本領の学校を卒業して社会人となり、〈人〉のために生きる道を歩みだそうとしていた。


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「……私、訓練頑張って、卒業式で良い主に手をとってもらうことが夢だった。そしたら私、その人に喜んでもらえるように必死に頑張れるって思ったから」


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「俺は、太刀川奨。――傭兵だ」


「そして俺が須藤明人。奨のサポート役ってところだ。今日からよろしくな」


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 明奈を手に入れたのは2人の『人間』だった。


 彼らとの出会いが、この先の明奈の運命を狂わせることになる。




 舞台は倭という島国に属する大きな孤島。


 一つの街ができるほどの大きな島、そこは、〈人〉の一族である源家が管理し、多くの〈人〉と人間が生活する街だった。




 〈人〉は人間を支配する。この世界の文明を支えるエネルギー源となっている万能粒子を生み出せる存在が人間しかいないから。


 故に、人間は彼らにとっての財そのものだ。〈人〉もまた争いの中にあり、倭は12の領地とそこを支配する貴族が、己の領地を繁栄、拡大させながら、島国である倭の覇をかけて争う戦国時代。


 人間は労働力や戦士として、あるいは万能粒子を供給し続ける『電池』として、〈人〉のために使われる。


 人間は抗えない〈人〉は神に近い存在であり、生半可な反逆は彼らの振るう強大な力に潰されるのみ。人間はこの世界では決して自由に生きることはできない。多くの人間がその一生を、誰かの富のために費やす。


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 剣士は相対する。己の武器を構えて。


「人間の幸福とは、俺達〈人〉の下でその一生を捧げることだ。御恩と奉公といえば分かりやすいだろう。お前たちは絶対の忠誠を〈人〉に誓い働き、俺達はお前達の働きに報い、生存を保証する。それが今の倭の秩序。それに従わない馬鹿は、社会不適合者に他ならない」


「なるほど……。それが真実ならいいだろうが、果たして、正当な報酬をもらっていると言える人間は、この世界でどれくらいいるんだろうな?」


「なにが言いたい?」


「人間は水槽に入れられて幸せか? 戦場で死ぬことが誉れか? 人間は、己が生涯に意味などなく、お前らの欲望のために死んでいく」


「……それは人間が弱いからだ。今は戦いが日常、真に弱肉強食の時代、誰かの庇護なくして生きていけない弱者は、強者にすがるしかない。それはお前だって分かるだろう?」


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 しかし。秩序は崩壊する。


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 ある会議室。


 この土地の支配者である源家の長男が告げた。。


「〈人〉が何人も殺されている。これは史上稀に見るあってはならないこと」


「犯人は腕輪をつけた正体不明の存在、ですか」


 腕輪、と聞いたとき、明奈は目撃する。


 己の主が深刻な表情になったことを。


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 暗き影は迫る。


 多くの人間の救済を掲げ、人間を闇へと堕とし〈人〉を殺す兵器として、倭を黒く塗りつぶすべく、うごめくく。


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 天に月浮かぶ。


 その中で、銃弾が放たれる音、そして剣が空を裂く音が立て続けになった。


「先輩、無理しないで……!」


 銃を用いて、腕輪をつけた戦士に対抗する明人を見て、明奈は泣きそうになっていた。


「彼女を頂く。彼女は、我らと共に、(人)の世を破壊する権利がある。多くの人間を救う礎となるための聖戦士になるんだ」


「明奈は渡さない。奨のようには戦えなくても、俺は、明奈を守る」


 普段はいつも機嫌がよさそうな顔をしている明人が、この場に限っては、殺意に満ちた顔をしていた。


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 それは運命だった。


 彼ら2人がこの地にたどり着き、明奈に出会うことこそが、悪魔を覚醒させ、地獄の始まりとなる。


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「最高傑作は完成した。あれはもはや現世を燃やしつくす神の巫女とでも言うべきだろうな。時は満ちた。奴はこの世を終わらせる終末装置となり、遍くに破滅をもたらす悪となるであろう」


 奨の前で悪は醜い笑みを浮かべる。


 現実が非情であることは、旅の中で何度も認識してきた。


 自分の望み通りになったことなんて、一度もなかった。


 一度もなかったのだ。


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 現世を崩壊させる時限爆弾の導火線。


 この戦いは、その火種となる物語。


 1人の少女が少年2人と出会ったとき、その火は静かに灯る。


 後はそれが線に至るか否か。





 蝶がはばたく。 


タイトル<Against human:銃と剣に誓う「  」>

作品はこちら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889991705


本来ならこの後に


(この作品へ企画主の感想)


(戸崎流、簡単な作品紹介)


の2項目が入る予定です。

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○○さんの小説の予告・宣伝まとめ(週刊カクヨム企画) とざきとおる @femania

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