第4話 目指せ!東●大学!



「『交換』しようぜ。オニーチャン?」


[はぁ?]


翌日、休みの日である日曜日に俺たちは郊外の人気のない河原に来ていた。


風が気持ちいい。遠くに見える森の姿がやけに新鮮に見える。鳶のような鳥が頭上を旋回している。


それにあまり浸らず、俺はクルリとニートに向き合った。


「で、何するんだよ?」


ピリ、と魔力が指を走る。

改善した特別な声出し術式を使うと、手に持った紙から機械的な声が出てきた。しかしこれでは声に魔力を込められないので魔法を使えない。あくまでこれは意思伝達用でしかない。


その時、黙っていたニートが顔を上げて口を開いた。


「俺が魔法使いになる。」


「…はぁあ!!??」


その言葉に唖然とした。


「魔法使いって、お前。目、見えないだろ!」


「あぁ、一切見えねぇ。だからこそだ。魔法に必要なのは『想像力』。

それによって新しい魔法は生み出され、また魔法の強度も上がる。目が見えねぇなら想像し放題だろ?」


「それ以前に魔力あんのかよ!?」


「少なめだが、あるらしい。お前(社畜)よりはねぇが、もし魔力をそこまで必要としない強力な魔法を作り出せたら、それこそ大発明だろうな。」


「あ…」


確かにそうだ。(「こんなことも考えられねぇのかよー、ダッセー」と笑っているニートは後で殴るとして)


魔力が少なく、生活に困る人は王都にも多いらしい。そんな人でも使える魔法陣が作られれば俺たちは一躍有名人だろう。


そんな有名人になれば、大学は欲しがる。


イコール、入学できる。



「…って俺はどうすんだよ!」


「気合。目ぇ見えんだから後は剣振るだけだ。簡単だろ。」


「雑だなおい」



そんなこんなで始まった俺たちの東大()サクセスストーリー()だが、次の日から俺はもちろん筋肉痛に苛まれる日々が続いた。


[いってえええ]

前世のドラッグストアが恋しい。

あの独特な香りが恋しい。


つまり、湿布が!恋しい!


俺は今自室のベッドに寝っ転がって痛みに悶えていた。


いきなり


「剣の稽古をつけてくれ」


と言ったはいいが、俺は今世魔法使い前世社畜の筋肉ゼロもやしである。困惑する剣士の先生にひとまず剣を持って向かっていったが結果は惨敗。ぼろ雑巾もかくやと言う具合にしごかれた。


腕力は少し上がったが、結局剣は当たらずじまいであった。



[どうすれば、もっと効率良くいくのか…]


悩むが答えは出ない。


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最強社畜とスーパーニートの転生論 無理 @muri030

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