第2話 入学準備

 入学式前日の午後9時、彰人たち3人は明日に備えての会議をしていた。


 丸テーブルを3人が三角形を作りながら囲むようにして座っている。


 「とうとう明日ね!」


 美代がウキウキした様子で言う。


 「そんなに楽しみなのか?」


 歩夢が首を傾げて言った。


 「当たり前じゃない!やっと同年代の女の子喋ることが出来るのよ?」


 「同年代の女の子なら心理学の勉強の時に話したのに?」


 「それとこれとは別よ!歩夢は楽しみじゃないの?」


 「僕たちほどの実力じゃないにしても、日本屈指の高校生から自分の手駒になり得る人を探すのは結構楽しみだね。」


 「ただ1番の懸念は学校の制度だね。他の新1年の子達はもう知らされてるみたいだから。」


 「そうよね。まぁでも今までの訓練に比べたら雑魚も同然でしょ」


 美代がなんともないような顔で言う。


 「あんた達はどういう戦略で行く?みんな同じような戦略だとつまらないから教えてよ」


 「僕は最初からどんどん目立っていこうと思ってる。学校生活を満喫するためには周りに認められないといけないからね。美代はどうするの?」


 「私は一旦様子見かな。学校の制度がわからない以上対策のしようがないし。学校ってものにまずは慣れてから戦略を練っていこうと思ってる。」


 美代話し終えたところで2人の視線が彰人集まる。


 「彰人?」


 美代が不思議そうに話しかける。


 彰人が机の一点を見つめていたからだ。


 「彰人ってば!」


 「あぁ、悪い。考え事をしてた。なんの話だっけ?」


 「戦略!学校に入ってからの戦略よ!私は一旦様子見。歩夢はどんどん目立って行く。あんたは?」


 「俺はあんまり自分は動かずに周りを動かしていこうと思う。目立つと疲れるし。多分。目立だったことないからわかんないけど。」


 「ふーん、まぁ、彰人らしい戦略ね」


 美代が少し気落ちした顔で言った。


 「彰人の本気が見たいけどね。まぁいいわ。あんたの勝手だし。」


 「ねぇ、ちょっといい?」


 歩夢が2人の会話が終わったところを見計らって切り出した。


 「学校はどんな制度や環境かわからないど、生徒同士の競い合いは確実にあると思う。そこで提案なんだけど、この3人が競い合える状況があるのだとしたら戦わない?」


 歩夢がウキウキした顔で2人に問いかける。


 「私はいいけど彰人はやらないんじゃない?」


 「どうだい彰人。戦わない?」


 彰人の顔を覗き込むようにもう一度問いかける。


 「お前らと戦うと確実に疲れるから嫌。」


 「そんなぁ、まぁいいや、彰人が本気を出さないといけないくらいのものができるようにするよ」


 「そうしてくれ」


 ここで3人の会話は終わり各自の部屋に帰る。


 この夜はなんだかんだ言いながら3人とも学校が楽しみであまり眠れなかった。



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オルテンシア 堀井 颯 @souhorii

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