第130話 パーティ追放、そして新たなる旅へ

「本当に行っちゃうの?」


 僕はエリーの言葉にうなずく。


 魔王との戦いから一週間が経ち、僕たちはドグランズから出立することにした。朝から、エリーとミハイルさんがお見送りをしてくれる。


 あの大規模な事件が嘘のように、街は平穏を取り戻した。ユグちゃんも『しばらくは休暇が取れるで!』と嬉々として世界樹へと帰っていった。


「また戻ってくるよ。カシクマの扉を使えばすぐだし」


「うん、そうだよね。また会えるもんね」


 エリーは目にたまった涙をぬぐうと、ヒマワリのように可愛らしい笑みを浮かべた。


「ミハイルさん、ドグランズはよろしくお願いします」


「ああ。私もまた修行の日々だ。必ずこの街を守り抜くさ」


 ミハイルさんはそう言うと、冥世の門がある方の空を見上げた。きっと話しているのだろう。クリスさんと。


「じゃ、出発しますにゃー!!」


 メイカが拳を上げて、高らかに言った。僕たちは二人に背を向けて、歩き出す。



「ねえ、なんで今回は歩きなの? クマちゃんの力があればどこでも行き放題なんだし、歩く必要なくない?」


「はー、これだから趣を理解しない女はダメですにゃあ。旅というのは景色を見るのも入っているんですにゃ」


「わかっとるわい! 私はただ効率の話をしてるの! ルカの時間は有限なんだから、世界一になるためには効率が必要って話!」


「効率を重視するなら、一人邪魔な女がいますにゃあ、ルカさん、追放しましょう!」


「あら、自分から名乗り出るなんて立派じゃない? 追放要員さん?」


「なんだとー!? この魔女!」


「このネコ!!」


 旅の道中。セシルとメイカはいつものようにバチバチと視線をぶつけ合い始めた。


「「ルカ|(さん)! なんとか言って|(ください)!」」


「うーん、ネコと魔女って仲良さそうなイメージあるし、二人も仲良くしたら?」


「「…………」」


 なんかおかしなことを言ってしまっただろうか。二人はそっぽを向いてしまった。


「そういえばアルベール、この前魔王と戦った時に、『ルカは俺の友達だ!』って言ってたけど、アレは……」


「やめろ」


「やっぱり僕のことをそう思ってくれてたとか?」


「やめろ」


 アルベールは表情を崩さずに即答しているが、しばらく旅を続けて、彼が内心で動揺しまくるタイプなのはわかっている。今も悟られないように必死だが、ヒザがガクガク震えている。生まれたての小鹿みたいだ。


「アルルはツンデレだから仕方ないですにゃあ。口ではそういいつつも心の中ではやっぱり……」


「やめろ」


「やめろ」


「やめろ」


 あ、壊れちゃった……。処理の限界を超えたのかな。


『ルカ・ルミエール!! 急ぐクマ! 世界の危機クマ!』


 その時、バッグからカシクマの叫び声が聞こえてきた。毎回毎回大騒ぎだな。今度は何……?


『あ! こらちょっと!!』


 リムの声が聞こえた瞬間、バッグから神器の五人が飛び出してきた。五人は空中で人間に姿を変えると、華麗に着地を決める。


「また止められなかった……」


 騒ぎ出す他の神器を目にし、リムは涙目で呟く。


「世界の危機っス! 頻発しすぎてて風吹きますよ! これはもう行くしかないっスね!」


「うむ、余のアホどもにわらわたちの活躍ぶりを見せてやるのじゃ!」


「さすがに世界の危機を使いすぎだと思うけど……何が起こったかは興味あるわ」


「行きましょうルカさん! 新たなミラクルを起こしに!」


 僕はみんなの言葉を聞き、大きく頷いた。


「行こう! 僕たちの冒険の旅に!!」

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パーティ追放された最弱荷物持ち! 外れユニークスキルは、『神器級装備』を美少女化させて好かれまくるチートだったので、成り上がって世界最強を目指します! 艇駆いいじ @wtw_tie

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