黒犬玉

作者 山本アヒコ

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★★★ Excellent!!!

 誘拐された犬神使いの家の息子と、それを救わんとするふたりの男のお話。
 ファンタジーです。それもゴリッゴリの和風ファンタジー。実を言うと和風ファンタジーってあんまり読んだことがなく、そのうえ知識すらもない(歴史とか何もわからん)人なのですけれど、そんな自分が読んでもしっかり和風ファンタジーなのがすごい。
 この作品の魅力をどんな言葉で伝えたものか、正直ものすごく難しいのですけれど、ひとことで言うなら『丁寧に組み上げられた世界そのものに面白みのあるタイプのファンタジー』。なんとなくSFっぽい印象すらあって(個人の感想というか、人によって〝この感覚〟を表す語が違いそう)、つまりあくまでも和〝風〟です。昔の日本そのものではどうもなさそうなのに、でもそれがものすごく日本日本〝している〟ような感覚。度肝を抜かれました。和風ファンタジーなのにしっかりハイファンタジー(異世界)してるというか。
 歴史上の何かにオリジナルな設定を組み込むのではなく、どうもきっちり一から組み上げているっぽい世界(違ったらすみません)。でもしっかりと和風なんです。イメージ的に身近な和のエッセンスで想像できる。読んでいるとひしひし感じるこの感覚、こう書いてしまうと何がすごいのか全然説明できてない気がするんですけど、でもこれが本当に〝イイ〟んです。
 社会制度や組織まわりの設定が架空のそれで、でも説明がなくとも名称だけでだいたいわかってしまう、この『だいたい』の気持ちよさ。っていうかもう、ただ単純に格好いいです。固有名詞等々がもう雰囲気バリバリで、自分の心のどこかのセンサーがずっと反応しちゃうような。こういうのなんて言えばいいんでしょう?
 その上で、というか、その設定面の架空度合いだからこそ魅力が増してくるのが、この物語の主軸。すなわち、事実上の主役であるところの『犬神』です。
 犬神という語(概念)そのも… 続きを読む