科学進化バットン・ジャン

ウゴカッタン

悪の軍団エリート新鋭「進捗どうですか」VS正義の戦車隊「バットン戦車楽団」

「うなれ俺の釘バット!」

全力でフルスイングしたこいつが!

鉄メットの最強甲子園球児ことバットン・ジャンその人だ!

「うべしぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」


 なんとなく文章書いてるお前らとは格が違う!

とりあえず相手を撲殺してから読ませるタイプの私設武装小説家軍団!

バットン戦車楽団だ!

 今日も一日10万字執筆にむけて釘バットがうなる!

こうやって編集者をしばけば自然とページ数が稼げて!

キャッチャーミットみたいにできる分厚いタウンページみたいな辞書っぽい物理書籍を出せるんだぜ!


「ふー! 今日も聞こえるぜ! 俺の! ファンファーレがな! 」


パボパボパボブブブービブブブーブーバブブービーブービーショー!!!!!!!


「バットン将軍どの! 今日もアル―チャのファンファーレは最高潮でございますですよほほ! 」

「これで進捗を聞いてくる阿呆の編集者も押し黙って我々に誌面を割譲し、自然自然と我々の戦線が持続されるという、いよっ! このバルーチャどこまでもバットン将軍についていきまっしょい!」


 アル―チャ女史とバルーチャ女子はバットン・ジャンの太鼓持ちだ、何せこの世界を生き残るのには物理書籍のページ数で相手を殴るのが一番だ、分厚い文章を書ければどんどん強くなれるってこの絶対正義はいつの時代も揺るがないジャンよ!


「さーてと、俺たちは戦車でさっそうと去るぜ! 今度は出版社めぐりとしゃれこもうぜい!」

「ヒーハー! このブルッサム馬頭操縦士! どこまでも戦車の履帯で乗り越えて見せましょうとも! 目指せ! 稀代の大文豪!」

>>>>>>>>>>>我らの将軍!バットン・ジャン!<<<<<<<<<<

「だーっはっはっはっはっはっは!!!!!!」

「よーほっほほおっほほっほっほっほっほ!!」

「まーっしょいっしょいしょいしょいしょい!!」

「ひーはっはっはっはっはっはっはっはっははーーーーーーーーーーーー!!!!」


ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリィ!


戦車は進む! 出版社が掘った塹壕掘りを越えて! 防衛部隊の批評の嵐を駆け抜けて! 全くノーダメージで装甲は揺るがず! どのような熾烈な批判と講評にも絶対揺るがぬ文壇正義がこの戦車にはある! 君にはわかるまい! 正義とは勇気! 勇気とは心意気! 心とはエンジン! エンジンとは排気量! 排気量とはガソリン! ガソリンとは燃料! 燃料とは燃やす物! つまり燃える心だあー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「うわー!!!!」 「爆進社の新人は化け物か!?」

「俺たちの分断工作もステマもネガティブキャンペーンも工作員も全員社会的に死んだ! もう人件費欠けられない―! 降参だ! こうだんしゃだ! いや戦車だあああああああああああああ!」


第一線を放棄し無様に撤退を繰り返す相手をしめしめと蹂躙する最強戦車の勇ましさを見よ、考えても見ろ、作家が戦車に乗れば大体の問題は解決する! 鋼のメンタル! 毎分400字の機銃掃射!  そして出版社の紙装甲を貫く暴虐無尽の戦車砲! 誰が! 誰が勝てるというのか!?


バットン・ジャンに敵はいない!


たとえ出版社が潰れようとも! 作家がいる限り執筆業は続く!

ならば出版社をつぶす心で一気呵成に書くのが作家の本懐というもの!

その力が! 君にもある!


「「「「「「戦車に乗って小説家になろう!」」」」」」」


ギャルギャル(以下略


さて、そろそろ出版社大本営が見えてくるころかな?

あれ、なんだろう? まるで戦隊ヒーローの悪役が巨大化するための、

工事現場用ヤードみたいな広がった風景だ。


「ん? 妙だな」


突如、にわかに暗雲立ち込めたがごとく影が戦車隊を覆った!


「ガーピー! 第一楽隊、第二楽隊! スピーカーガナリ轟音車は無事か?!」

「ガーガーピー! バットン戦車隊バットン戦車隊、第一楽隊は無事、いつでもファンファーレオーケーですよほ!」

「ピーガーガー! バットン戦車隊バットン戦車隊、第二楽隊は無事、いや、なんでっしょいあれは! 空に巨大なシルエット!? 」


ギャピィィィンシュゴオオオォオォォギッギャッギュギギギギギャガギンバギンチルドゴー!!!!ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギギギ! ドピカーン!


太陽光を浴びて輝く鋼鉄の巨体! 鋼の城は五千トン! あらゆる脅威を押しのけて! 大地震撼、立つ巨人!


「ろ、ロボットだと!? じ、時代遅れな!?」


『ハーッハッハッハ!!! 誰が時代遅れだ!? おばあちゃん家の漬物石め!』


えっとこの先の流れのプロットは、とりあえずタスクで進捗管理するとして

ナンバー振って、それぞれの部分を書き込むことにしたぞ!

ではいってみよう! 作業進捗真っ向勝負! バットン戦車楽隊VS!


「アクティバス・トロッコだ!」


「オナニズム・シロッポイだと!?」


「この私が?! ザーメンだというのか!?」


「え、あなた残念なの! よほほなのほ!!」


「き、貴様らぁぁぁぁ!!

そろいもそろって言質を取るとは!!!

それでも作家の端くれかああ!!!!」


1了

 アクティバス・トロッコの圧倒的なスピードによる接近を、ギリギリのところで戦車砲でしのごうとするが、素早く砲弾をかわされる、追撃の機銃掃射はことごとく無視される、ちなみに機銃掃射してる子はゴーストライタン、若干十五歳でバットンさんの言質を取って実質上、文豪生活を支えてる絶大な力を持つ子で一分間に400文字活字を撃てるくらいのスペシャリストだが、15歳で作家活動をしてると勉学の心配をされたり子供を違法労働させてるとか労働法違反の問題を指摘されるのでこうやって戦車に潜り込んで誰からも指摘されない絶対の立ち位置から活字を打ち込むのだ! シュビバババババババ!

 だがアクティバス・トロッコの応戦で放たれる高速連射の頭部バルカンは一分間に千五百文字の超級活字連射だ、どうやってこれを可能にしてると思う? アクティバストロッコはあらかじめ自分の小説のパターンをロボットのAIに認識させておき、次々と予測変換をさせることでセミオート執筆を可能としている、このために装填システムが普通の作家のそれとは圧倒的に違う! まさに旧式の人類と新式の人類! 作家業を分けた攻防!

 このままでは戦車隊がやられるかと思ったが、戦車楽隊の楽団車両からのタイプライターガトリングガンが火をふいたので相手の千五百文字超活字連射と渡り合う弾幕を張ることが出来た、がいかんせん辺り一面が跳弾や砂煙の嵐で前が見えにくい!

「ガーピーガーガーピーガー! 楽隊全員、特大スピーカーで視界を確保しろ!」

「ラジャーよほほ!」「ラジャーっしょい!


音の威力でたちまち煙が晴れるが敵の影が見当たらない!? いや!


アクティバストロッコは眼前に?!


「進捗、どうですか?」


「ぬわああああああああああ!!!」


バットン将軍の乗る戦車を放り投げる、黒き鋼のロボット!

ガンガンガラガラドッガラショ!!?


圧倒的! このアクティバス・トロッコ


「フゥフゥフフウハーッハッハッハッハ! 所詮、漬物石!

 手前味噌にひっくり返せてしまったなあああああああああ!」


「く、き、貴様は!? ま、まさか小説家になろうというのか!?」


「おろかもの! カクヨムだ!

小説家になろうなど時代錯誤も

はなはだしい!!!!」


「え、小説家じゃないの?」


「いや小説家にはなりたい」


「じゃあ! 小説家になろうジャン!」


「ちがう!

私は!

このアクティバス・トロッコは!

カクヨムだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


2了

再びカクヨムと決めたアクティバスの絶対裏切らない速で抜き放たれた、

黒鉄ブレードが光る! あんなデッカイ凶器で斬られたら戦車が真っ二つに

なってしまうのが分かりきってるので、正直そんなもの振り回す作家に僕らはなりたくないが、それでも振り回してくる!

「貴様の撃った無駄玉の一発一発がそもそも小説の体を為してない!」

まず一文字切りにこちらの機銃掃射でなされる文章形成を叩斬って押しとおる!

「どれだけの速で執筆しようが心を打たない駄文をひけらかしてるだけで無能無能ォォォォx!!!! お前たちは日記さえ書けないチンパンジーナンダヨォオォォォ!」黒鉄ブレードの舌戦によるあおり文句に次々切り伏せられていくタイプライターガトリングの連携連射! このままでは押し通られてしまう!

というかそもそも一発一発の文字が黒き鋼のロボットの装甲に弾かれて文字を残せずに、そこら中に活字が転がってしまっている状況で小説を執筆できるのか!?

ガスガスケツケツガス!


「バットン将軍バットン将軍!

弾切れでございますですかよほほ!?」


どうやらペダル踏みっぱなしのベタ打ちだった楽隊は弾切れらしい

正確に狙って執筆できるゴーストライタン君は、

まだ余裕があると言ってくれた。


「バットン将軍バットン将軍!

燃料切れでございまっしょい!?」


迫る敵から逃れるために楽隊は

機動性でもひきつけていたわけであり、

各方向からの攻撃が通用しないと知れてしまった今!

燃料切れを悟られるわけにもいかないが!?

「足漕ぎペダル、変速ギアでなんとか回してくれ」

「やってみるっしょい!」

キュルキュルキュルキュルキュルキュル

足漕ぎで動く戦車随伴の車両ってなんだろうね?

なんにしても!


「この戦い! 圧倒的不利!

いや!? 勝算はある!

皆! 作戦たーいむ!」


円陣を組む戦車隊


「え、なになに、どうしたの?

もう降参なの!?

ちょっと話聞いてよ!

進捗ぅ! 進捗どうですかっはっは!

進捗全然ですかっはっはっは!!

わっはっはっは困るなあ!!!!

これだから新人作家は!」


3了

勝利確信! アクティバストロッコ!

慢心確定! アクティバストロッコ!

円陣は突如動き出し、腰に手を当ててるロボット!

笑いこけてるロボットめがけて攻勢に出た!

「ファイトォオオオ! オオオオオオオ!」

「ファイトファイトファイトガッツ!」

「ガッツガッツガッツファイト!」

「ガッツファイトガッツファイト!」

うるさくスピーカーで脅かしかかられると、

たちまち耳を塞ぐ動作に出たアクティバス・トロッコの機体に!


「スプラトゥキャノンだあああ!!!」


4了

反転攻勢の必殺の戦車砲に詰められたのは戦車迷彩を作る為に、

戦車に積まれた着彩カラーの数々、要するに装甲を着色可能な塗料!

つまりロボットの装甲にも有効であり! たちまち相手はベトベトさん!

やったぜ! 視界を封じてやった! 作戦成功!?


「き、汚いぞ!

こんなイカ臭い塗料で!

この私の黒き鋼の機体を

塗りつぶすなどと!

ええい! 視界がクリーンにならん!」


5了

アクティバス・トロッコはメインモニターと、サブモニター、

すべての視界を覆ったペンキを消すために手でガサガサやるが、

あいにくのところふき取るためのボロ布もウエスもない状態で機械の手でああだこうだしてもぜんぜん細かいところに手が行き届かない!

 これがロボット操作の現実!? みんなもロボットを運用する時は、巨大なハンカチやタオルを持たせてあげてね! 遠足にいく気分こそが戦争には大事だっていうお姉さんとの約束だよ! さて問題! アクティバス・トロッコはメインモニターとサブモニターの両方がやられたら何をしたでしょうか!?


「ドローン射出だ! 私の目となれ! 戦況を把握するぞ!」

そう! ドローンで戦況把握! これ大事なことだよ! 読者の皆と作者だと圧倒的に見える世界が違ってる! 頭の中も違ってる! そう考えたらちゃんと小型の四つ以上のプロペラで安定して飛んでくれるモニターが大事なのよね!


「くっ!? なにやら振動音と発射音がすると思ったら、我が装甲に機銃掃射だと!? 馬鹿め! 目を封じられたからと言って装甲が薄くなるわけでも無し! 戦車野郎どもは戦下手だと悟ったわ! ?! ん!? な、なんだこれは! き、貴様ら! 私の機体に何を書いているのだ! い、いや読みたくはない! こんな下劣な奴の書く文章などカクヨムに残す価値はない! わ、わたしは自分の勝利のみで突き進めばいいのだぁ!」


アクティバス・トロッコはドローンを頼りに進もうとするが、突然の爆音に脅かされたというより、その爆音が言葉であり小説であることに気付いた!


「聞こえるか! アクティバス・トロッコ! この言葉の連なりこそが! お前の全身に書かれた! おれの! 俺たちの! 小説投稿作品だぁぁぁぁぁ! くらえカクヨム! お前たちの誌面は埋め尽くしてぶっとばす! 」


高らかに読み上げられる文章に刮目せよ!


『マジカルおっぱいマンの逆襲:作バットン・ジャン ゴーストライター:ゴーストライタン 朗読:アル―チャ女子

 マジカルおっぱいおっぱいパワー! 魔法乳母に変身する全身筋肉マッチョメン徒労育三は世の中のお母さんに変わって育児をする最高な存在さ、今日も赤ちゃんに魔法のおっぱいを与えて働くお母さんを応援するよ! 「はーいよちよちいいこでちゅねー、授乳プレイだ! 授乳プレイだぞ! 喜ぶがいい! 人の子よ!」 だがそんなマジカルおっぱいマンを地獄のどん底に叩き落す恐怖の魔人が現れた!

「だ、だれだなの!?」

「私の名は魔王乳母マジカルデカパイマン! マジカルおっぱいマン貴様のおっぱいの百倍の栄養素よ!」

「えーい! この子に必要なのは愛情という名の栄養よ! わたしとおっぱいで勝負しようだなんて百年早いわ! くらいなさいデカパイマン! おっぱいビーム!」

「ふわはははは! そんな母乳量で世にいる子供を満足させられるとでも!? くらえデカパイビーム!」

「ぬわああああ!! 圧倒的! 授乳量の暴力! ミルキーウェイが宇宙を染める! こんな、これが!?」

魔王乳母! マジカルデカパイマン!

敗北の味は乳の味であった、「くっこんなこんなことって! このままじゃデカパイマンの愛のない栄養素だけの授乳で赤ちゃんにとってのおっぱいがファストフードになっちゃう! そんなの絶対許せない!」

――――――力が欲しいか?

「あ、あなたは!?」 「私は! 私こそは! おっぱい星人パイパイマン!」

「そ、そう!? そうなのね! あなたが私にミラクルおっぱいパワーを!」

「そうだ! わたしの母乳を飲めば誰でも百人力よ!」

「やるわ、飲んでやるわ! その要求! ミラクル授乳パワー!」

マジカルおっぱいマンはパイパイマンのおっぱいを飲むことで百人に増えることが出来るのだ!「ば、ばかな!? 何故、貴様は生きてられる!? しかも百人に増えてる! 私の母乳の栄養素で百人に増えたのか!?」 「見なさい! マジカルデカパイマン! 真に大事なのは母乳の質では無いわ! 乳母の数こそが労働力の根本的な解決策であり少子化対策なのよ! くらいなさい! おっぱいガトリングランチャー!」 「ぬわーーーーーーーー!? おっぱいに栄養素アレェェェェェェ!!!!!!!」 爆発四散! かくして人類は少子化対策に絶大なる乳母を得た! この無限に増え続けるミラクルおっぱいマンの母乳によって子育ての苦労からまた一歩、世のお母さんたちは救われたのだった!』


「な、なんだこの恥ずかしさは!?

このアクティバス・トロッコが!

プレッシャーを感じたたというのか!

くっ離脱するゥゥゥゥゥゥ!!!」


6了

アクティバス・トロッコの機体はおっぱいマンで汚染されているからか、どことなくミルキーウェイにむかって飛んでいった気がするが、ロボット単独で地球の重力から脱せられる推進力を持ってる時点で、よくあんなのと戦車で渡り合えたねえ。

「どうだ! これで俺たちの勝利は確実」

「よほほ! 絶対の勝利をおさめたよほほ!」

「っしょい! これこそが戦車の勝利っしょい!」

「ヒハハ! ヒハハヒーッハッハッハ! ヒハハ!」

「カタカタ、で、どうするんですか? カタカタカタ」

「ん? ゴーストライタン、どうするって?」

「馬鹿ですねバットン将軍、あいつは宇宙出版社コロニーから来てんですよ、宇宙に行かなきゃあいつは何度でも地球の作家に武力による戦争の介入を続けるってんですよ、つまり誌面獲得闘争をしてる我々はずっと宇宙からやってくる敵と地球で戦い続けなきゃいけない、根本解決になってないって話ですよ!」

「じゃあ! 宇宙に行けばよいジャンよぉぉぉぉぉ!」


って


「戦車でどうやって宇宙まで

いくんだよよおおおおおおおおお!!」


絶望がバットン戦車楽隊を覆った、

あるものは諦め、あるものはくたばり

あるものはネットサーフィンを始めた、が?


「いけるんじゃよ!」


そ、その声は!?


「戦車でもいけるんじゃよ!」

サムズアップの白髭つるピカ白衣!


「「「「ブレイキンダブル博士!?」」」」


7了

その博士、長年人類の科学進化のために研究を続けてきた最強科学の権威でありありとあらゆる開発を行って、頭頂部はついそ禿げ上がった、そして、今、バットン戦車楽隊に大量の研究成果を与えて、今までの執筆量をはるかに上回る一日200万字を可能とする新システムを導入し、完璧な補給を行ったというから、博士ってテロ組織を支援しやすいイメージあるよね、で、博士は何をさせたいんですかね?


「待っておったよ!

君らのような若者を!

さあゆくがよい!

あのマスドライバーに!」


8了

マスドライバー! それは! 宇宙にジェットコースターでぶっ飛ばす最強装置の事! 長いレールで加速して一気にその速力を利用して物資を宇宙に射出する仕組みで、うまいことすればロケットとか無くたって宇宙に行けるかもしれない未来へ向かって飛び出すための機械装置だ、こいつに戦車をのせれば!?(以下略

※マスドライバーは地球の重力では使いづらいらしい!


「いくぜ!

いってやるぜ!

浮かぶ宇宙の輪転機!

出版社コロニーに!

そしてやめさせてやる!

電子出版なんて!

レトロフューチャー!

古臭いぜ!」


※あくまで物理書籍にこだわる

 お前らはなんなんだ


9了

マスドライバーに乗せられた戦車楽隊は一挙に加速して宇宙空間に射出された、その時の加速の凄さは中に乗ってる奴らが大ダメージを受けて思わず芥川賞を取ってしまったような気分だったそうだが、そんな文芸で典型的な賞なんかを取るよりも大事なことがある、まず宇宙空間! 酸素が無いんだよ! 宇宙を戦車がいけるのかい!

「大丈夫だぜ! ブレイキンダブル博士が戦車を宇宙仕様の宇宙船に改良してくれたから、酸素が十分にあるんだぜ!」

次に推進力だよ! どうするんだよ! 前に進めなかったら宇宙で迷子だよ!

「大丈夫だぜ! ガソリンよりも容量的に高燃費ののジェット燃料で馬力がアップしたから排気を推進剤代わりにして前に進むことが出来るんだぜ! 」

じゃあお前ら、船外活動できんのか! 宇宙服は着てきたのか!

「着てきたぜ!」

じゃあもう文句言うこと無いよ!

「よかったぜ!」

かくして星の海に戦車はたゆたう、これからの戦いに備えて。


ところかわって出版社スペースコロニー、長年の物理出版の歴史を越えて、遂に人類は物理出版の重みから解放され電子書籍の海に乗り出したという具合、その本部こそがここのコロニーだったというからマジでクレバーで頭利口で賢くなっちゃうと思う想いで尊くなりあらせました、で成仏。


「ただいま帰りました

出版社王デスゾーン様」


10了

出版社コロニーの中でひときわ高いビルの頂上には城が立っている。

その城の城主にして玉座に座る子の人こそが出版業界の長であるデスゾーンその人であり、何人もデスゾーンに歯向かって作家を名乗れた者はいない、新人女性作家の大半はデスゾーンの愛人だともっぱらの噂である。


「アクティバス・トロッコ

地球査察ごくろうデスゾーン

で、問題は解決したデスゾーン?」


「ふっ所詮たいしたことのない

新人作家でした

少しいたぶってやれば

黙って時流にのまれることでしょう」


「それはそれは良かったですゾーン

この科学技術の進化した

宇宙大出版時代に

物理書籍の重みに囚われた人類は

不要デスゾーン」


11了

~長い歴史の説明の地の文

文壇大戦後の世界はまさに地獄の様相、全ての人民が同人誌に逃げ、出版社の信用がガタ落ちした結果として、新しい書籍がインフレしまくってすごい分厚さになり、大概の本が広辞苑並みの分厚さを持つ社会情勢となり、庶民はとてもじゃないが本など買えないという事実に打ち震え、かくこうして人類は同人誌即売会のほうが安く本を手に入れられるという具合で印刷所と悪魔合体していた、その状態を解放し、出版業界を救うべく最強のデスゾーンが為した施策こそがすべての作品をネット上で簡単に検索できるようにする革命的な文化の進化であり、それが為し終えたときすべての人民は電子書籍に移行し、そしてその足掛かりとなるカクヨムによって完全に作家人生をネット空間でああだこうだ叫んだってやりたいようやるべきなのは確かな事であった!


「最近は電子書籍主導ですゾーン

SNSでの評判から小説投稿サイトでの

人気まですべて小説データがタグで

関連付けされ管理され

すべてのユーザーの興味関心度に

合わせ作家が最小限の労力で

作品を発表する時代

もう売れないとか在庫を抱えて

苦しむ時代とはおさらばなの

デスゾーン」


「さすがデスゾーン様

このアクティバス・トロッコ

電書化の先鋒として見事

太陽系を支配して見せましょう!」


「アクティバス・トロッコ様!」


12了

水色の髪をしたパイロットスーツというか、要するに体にぴったりタイプの宇宙服を着た女性軍人っぽいけど実は作家という具合であり、何故かデスゾーンの魔の手から逃れている伝説を持つお嬢様作家だともっぱら噂のミナス女史であるが、アクティバス・トロッコの部下で、ミナス隊という宇宙文壇防衛部隊を率いているという具合だというから、なんか、その、たぶん、すごい。


「ミナス!

出版社王デスゾーン様の前であるぞ」


「よいデスゾーン

それで何か事件デスゾーン?」


「戦車が! 宇宙をとんでいます!

こちらに接近している模様!」


「なんだと!? そんな馬鹿な!?」


13了

宇宙を漂う戦車隊。

「はっはっは! 戦車で宇宙を飛ぶだなんてさすが俺たち!」

「「「「バットン戦車楽隊!」」」」

「たぶん、どうにかなるな、うん、たぶん、これ勝ったな、完全に独壇場だな」


宇宙を漂う戦車隊は徐々に出版社コロニーに接近していってる、地球の衛星軌道上にあるその巨大な浮かぶ宇宙の輪転機からは大量の電子書籍が刷られており、小説日報から新聞までなんでもござれの宇宙の大看板であったというが、まさかさすがのお天道様も、そんなコロニーに攻め入ろうとする戦車隊がいるとは思うめえ。


「なんデスゾーン?

アクティバス・トロッコ

しくじったデスゾーン?」


(くっまだ私の機体が

 クリーンになっていない間に!)


「アクティバス・トロッコさまは

査察でお疲れと見えます

ここはアクティバス様に

育てられた我々ミナス隊が

目標を排除いたしますゆえ!」


「ゆくデスゾーン!

作家が宇宙遊泳するなど

言語道断デスゾーン!」


「御意!」


14了

宇宙で戦うための戦闘用の機体、要するにロボットとかを格納してるコロニーの港ってところ、軍事用だから軍港ってところかな、いや宇宙だから宇宙軍港って呼ぶと格好いいとおもう、そんなところで準備してるのがミナス隊、そこに入ってきたのがミナス隊を一から育て上げたというアクティバス・トロッコである。


「ミナス、油断はするな相手は戦車だからと言って、アマチュア小説家でもある、下手にかみつかれると書評に響くぞ」

「アクティバス様、ご安心を、我々はプロを志す身です、書評に対しての心構えは出来ており、万全なので、つまりほぼプロも同然です、ついでに操縦技術もプロなので、たぶん仲間と連携したら、簡単にどうにかなる相手だと考えたりしますが、アクティバス様が苦戦するほどの相手なので、もちろん簡単と侮るのはいけないし、だめだと思うので、表現が足りないので精進したい次第です、はい」

「ミナス、緊張しているようだな、だが、この勝利が結ばれれば百合の覚醒も近い、必ずやミナス隊は出版業界の柱となるだろう」

「はい! では行ってまいります!」


ミナスは自らの隊が待っている円陣に加わり、士気を高める音頭を取って、けどとりあえずソーシャルディスタンスを保ってるあたりが、この宇宙進出時代でも地球の習慣を続けてる感じがして良いですね、つまりまず手を左右に伸ばしてそれぞれの感覚を取った円陣を組み、最後にこぶしを突き上げるミナスに続いて、六人の精鋭たちが高くこぶしを突き上げて出動となったわけである。


「ミナス、カーラ、ゲッタ、

ニチリ、ドリラ、キンシュ、

モクア

ミナス隊! 出撃します!」


15了

宇宙軍港から発進したそれぞれの機体が色とりどりに織りなす動線で、

敵めがけて飛んでいく、

なんとも仲睦まじい限り、ではその面々を見ていってみようか。


それぞれ色の違う機体っていうかロボットにのって出撃するぞ! 全員女性だぞ! カーラは赤い髪のキリっとした眼つきで赤い機体、ゲッタは灰色の髪でクレーターのついた月面迷彩の機体、ニチリは光り輝くまぶしいスペクトルな様々な色をした独特な髪で機体自体が発光しているので隊の目印として、あるいは敵をひきつける機体としての役割を果たすんだろうと思うし、ドリラは茶髪でドリルのついた機体で土褐色のカラーなので穴ほって潜ったり出来そうで凄そう、キンシュは金髪で金色塗装の機体なのでなんか高そう、モクアは緑髪で機体もグリーンカラーなので自然に優しそうで、全員揃うと華やかで良いですね!


そして水色の機体を扱いこなすのが青髪のミナス!


「お姉さま、アクティバス様にはお気をつけてくださいましな」

「カーラ、アクティバス様は我々の関係性を見抜いていて抜擢してくれた方だ、そのような言い方で俗物と同じように扱うのは失礼だ口を慎め」

「まあ、怖い、でもカーラとしては情熱に燃えるお姉様も嫌いではありませんわ」


「ミナスお姉様、カーラとだけ話すのではなくゲッタともお話してほしいのです」

「ゲッタ、もともと月の住人であるのにだいぶ人語を話すのが上手くなったな」

「おほめ預かり感謝の極み、ミナスお姉様の指導があってからこそなのです」


「カーラもゲッタもすぐミナスお姉様に頼る、このニチリが手柄を全て頂いてしまおうかしら?」

「ニチリ、功を急いて隊を乱すようなことはするな」

「あら、わたし、一度でもそんなことしましたかしら? ミナスお姉さま?」


「お姉様方! 今回は穴を掘る必要がありまして? 私、落とし穴が作りたいです」

「ドリラ、今回は敵に穴をあけてもらいたいが、弾幕がこければそれもかなわない」

「えーなにもしないで見ていますの?」

「接近戦は危険だ、あのアクティバス様が苦戦した相手なのだから遠距離から遠心射出銃器で我慢するんだ」


「それで、お金になりますの? ミナスお姉様? 活字ひとつで何ドル換算で? あるいは400字詰め換算で千ドル計算でして?」

「キンシュ、取らぬ狸の皮算用だ、そもそも今回は執筆の仕事ではないのだから銭勘定自体の基軸が間違っているぞ」

「あらいけない! お金にならない仕事なのね! タダ働きは過労死の元ですわ!」


「全員! 私のお姉様にたかるな! 近づくものはこのモクアが撃ち抜く!」

「よせモクア無駄玉だ宇宙空間でスペースデブリ、宇宙ゴミを増やすのは良くない」


この様子を眺める人は百合だというが、本人たちはそんなつもりはたぶん無いが、

アクティバスはジャンル的にミナスたちは百合だと思ってるというので、

なんか扱い的にひどいと思うけど、まあ個人が頭の中で他人をどういう関係性で見て取ろうが勝手というものだ、それこそ今は臨戦態勢なので、不埒な想像に対して面倒を見切れないのが作家業のきびしいところですね。


「おお、なんと麗しいミナス隊!

そうそうたる女性陣に再度敬礼!

いってらっしゃーい!」


16了

うってかわって、我らの戦車楽隊は宇宙空間でぷかぷかやってました、みんな初めての宇宙でどうしたらいいか分からない所はあるものの、戦車の中は狭いし、臨時的にマジックテープとか、手すりとかをつけたので割かしそんな変わらないっつったら変わらないのだけど、ただ相変わらず視界が確保できないのが悩みではあるし、宇宙空間だと360度かける360度、どっからでも攻められるから、正直戦車砲の砲塔では敵の攻撃に対応しきれないので、もうちょい緊張感を持ってもらいたいけど、

 あ、ここで何やらピコーン!


「バットン将軍バットン将軍

伝令、でんれーいですよほほ

敵からの通信入りましたよほほ」


「なんだめんどくさいな!

俺はのんびり星を眺めながら

執筆をしていたいんだ」


タイプライターカタカタ


17了

いや、お前、戦いに来たんじゃなかったっけ?

作家ってどこいっても平常運転だなっと、

そこにミナス隊が接近してきた、宇宙空間を猛スピードで進んできても

案外スピード感が伝わらないし距離感が分からないけどそこを演出と、

パイロットの名台詞でカバーすれば画面が映えるぞ!


「我が主君、アクティバス・トロッコ様

によくも!」


18了

突撃してきた水色の機体のミナスだが、戦車と戦えるくらいのサイズ感なので、わりかしアクティバス・トロッコの機体より小型で好感が持てますね、というかあんまりデカいと色々と用途が狭まってしまうじゃないかとは思うのでそういう配慮大事にしたいですよね、本当に思う所ではあります。

 と、強襲で弾幕を張られると中々面倒な具合ではある、特に戦車楽隊は宇宙ではまだ戦闘は未経験であるし何の準備も予備知識も無いので!

「バットン将軍! バットン将軍! なんか機銃掃射しようとしても敵をうまく捕捉できませんよほほ!」

「バットン将軍! バットン将軍! 敵の弾幕に対抗する弾幕を張ろうと思ったら、こっちの姿勢を制御しなきゃっしょい! うまいことおいつけないっしょい!」

「な!? ゴーストライタン! お前でもあいつに的中させられないのか!?」

「無理、こちらの射角では追える角度が限られてる、もっと旋回してまわりこめないとまともに戦えない」

ミナス隊のはるかに上回る機動力を前にバットン戦車隊最大の危機を迎えてヤバい!

こういう時にセリフ吐いとけば勝ち誇れて美味しいぞ!


「戦車が宇宙で戦えるものか!」

「なっなんだと!?」


19了

宇宙でロボットが戦えるのはまあ宇宙仕様で作られてるから、色んな所に機動制御用のシステムを構築してパイロットに快適にしているからというのがある、特に宇宙だと上下の感覚が失われ簡単に迷子になりやすい所を、ユーザーインターフェース面を強化することで、目標のポイントと味方機そして自分の所属している場である程度座標を組んで、そこに立っているかのように動けるようにしてある、これを宇宙海面と呼ぶわけで、これがあるか無いかでパイロットの平衡感覚が大きく異なることから基本的なものとして視覚部分にディスプレイされるよう機能が搭載。

 一方の戦車はそんな機能があるわけも無いのでほぼほぼ負け確定なのだが、何か秘策はあるのか?

「お姉様、妙ですわ、あいつら突然船外作業をはじめましたの」

「な、なんだとキンシュ!? みな一時距離を置いて退避しろ!」

ミナス隊は慎重に慎重に攻略していた、何せ、あれだけの弾幕を浴びせたのに、実質、戦車部隊は無傷である、命中していなかったわけでは無いが大破した様子はない、何故ならこちらに相手からの声が通っていたからである。


「わっしょいわっしょい!」

「ヒヒハーヒーハヒーハー!」

「よほほよほよほよほほよほ!」

「カタカタカタカタカタカタカタ」

「おし出来たぞ! 全員! 配置に戻れ!」

「「「「「ラジャー! 了解!」」」」」


「しまった!? こちらにあえて音声を聞かせていたのは! 罠を張っていたわけでなく準備期間だと!?」

「み、ミナスお姉様! あいつらワイヤーと鉄骨材のようなもので組みあがって!?」


そこには戦車の塊魂があった!


「リアクションホイール合体!!

バットン宇宙戦車楽団爆誕!」


バババババーン!!


20了

「あえて合体に時間をくれたから物のついでに教えてやろう!

 俺たちは緊急事態に則し、新たなる宇宙戦闘での基幹システムを、

 ゴーストライタンに頼んで作ってもらった!

 ゴーストライタンは即座にプログラムを開始し姿勢制御に必要な、

 連携を完成させた! それがこのそれぞれの履帯の回転を利用したリアクションホイールによる姿勢制御のシステムと、俺たちが普段ネットサーフィンに使う用のディスプレイを応用した全方位スクリーンと平衡器官安定用のワイヤフレームモニタリングだ、これによってこの宇宙でも上下方位に基づいて左右軸を使いお前たちの攻撃を回避できる!」

何を馬鹿なことを言っているのだろうか? 相手は七機の宇宙仕様の機動戦用のロボットであり、そんな急ごしらえで組みあがった戦車のスクラップを宇宙衛星にしたようなの的でしかあるまい、実際、ミナス隊のモクアはそう思った。

「それぞれの連結部分を撃ち抜きます! これでトドメだ!」

ズギューンドドドゴーン! が、宇宙戦車楽団はわずかな動きでこれをかわした!

「も、モクアが外した!? こんな馬鹿なことが! ええい! 全員で弾幕を!」


バラバラバラバラバババババアバババババアバア! 全ての弾道が予測されてる!? あっという間に回避されてしまった!?


「そ、そんな馬鹿なことが!? 戦車ごときがこの精密な機動性を手に入れるだと!? だ、だが接近戦なら!?」

「ドリラ! 行きますわ! 食らいなさい! ドリルアタック!」


急加速をかけた茶褐色の機体が自らの手についたドリルで戦車装甲を貫こうと加速するが! 「追いつけない!? そんな! たかが戦車がこんな加速を!? く」 


「分速400字機銃掃射!」


「とぅはあああああああと!?!?!?!?!?」

「ドリラ! 下がれ! いくらお前の機体でも! 継続してその弾を受け続けれるだけ装甲は厚くない! それにお前は敵の弾に突っ込んでいってるようなものだ! 速度センサーが視界状況で伝達されてるはずだろう!」

「ミナスお姉様!? お姉様!? どこ!? 方向も軸も分からない!?」

(なんだ!? カメラがやられたわけでもない!? ドリラの機体に一体何が?!)


「バットン将軍バットン将軍、敵のシステムの解析が終わった、ついでにユーザーインターフェースを書き換えました、まあ弾を継続して当てられれば大体の相手のシステムは書き換えられます」

「でかした、ゴーストライタン ――――――聴こえたか? こちらはそちらのシステムをクラッキング出来る、そちらの機体はどれも同じシステムで統制されてるはずだ、お前たちに勝ち目はない」


(馬鹿な!?)

「このぉ! ゲッタのスピードをみるの!」

「ニチリの輝きでゲッタとサンムーンアタックを掛ける!」

「は、早まるな!? ゲッタ、ニチリ!? クソ! モクア! キンシュ!

 ドリラを撤退させろ! これ以上被害を拡大させれば戦闘継続が不可能になる!」


ゲッタの機体は月の住民が大概スピード狂でもあったので、合体したバットン宇宙戦車楽隊にも追い付いて、機銃掃射を回避するだけの余裕がある! そしてゲッタはバットン宇宙戦車楽隊の背面を取る! そして 「貴様らの視界はニチリが封じる! くらえ! サンライトトゥモローネバーフラッシュ!」

「バットン将軍! バットン将軍!」

「背後もらいました! ラビットラピットファイアーキック!」

ゲッタの機体の脚力は大概のロボットを上回る圧倒的な太ももを持つ! その一撃は月にクレーターをいくつも作り出す驚異のメテオインパクト!

「砲塔旋回! バットン戦車砲をくらえ!」 「なっ!?」「ニチリの輝きが!?」

ゲッタのケリのインパクトの瞬間に戦車砲が火をふいた! 

「アウチィィィィィィィィ!!?!!?!?」 ゲッタの足はもがれて吹き飛び! 姿勢制御を失い、同時に推進力の頼りであったブースター、スラスターを失うこととなり! 売りである速度を失ったゲッタの機体は! 簡単にバットン宇宙戦車楽隊に捕捉されてしまう!? 「好きにやれるとなめるなああああ!!!」

ミナスがシールドバッシュを宇宙戦車楽隊に加えた! 戦車砲は宙を撃って、態勢が崩れたが、ミナス機を押し返して余りある余裕があった。

「お姉様!? このニチリ不覚でした! 敵が可視光で判断してると見誤って、ゲッタが!? 申し訳ありません!」


「くっこのスピードパワー!

ニチリ、見誤るな!? 何か仕掛けがあるはずだ!

だが!? 戦車を単純にワイヤーでつなぎ

とめただけというのに

我々が押されている!?」


(ミナスお姉様の高貴な魂の灯がゆらいでいる!?)


「ミナスお姉様! 砲撃に気をつけて!

奴ら、普通の火砲ではない模様!」


「カーラ! 奴らの連携を解除する

私が敵の主砲をひきつけてる間に

ニチリと共同で合体を解除しろ!」


21了

「わかってるかもしれないが、お前たちのシステムは読み込ませてもらった! 小説家は読んだものは好き勝手に改変出来るし、読んだものは大体覚えるんでな!」

にやりと笑うバットン宇宙戦車楽隊は全員サングラスをしている、どうやらニチリ対策に使える見て、こんな簡単な仕組みで難を逃れたらしいが、今度の敵は!


「ニチリ! 私、カーラの火力で敵を撃ちぬく! 光を保ったまま相手をひきつけてくれ!」 「分かりました! 閃光弾フレアースカート展開!」

ニチリの機体のスカート部分から大量の光の線が発せられ、デコイとして、フレアーがいくつもの機体のように陽動してまるでニチリが分身したようにバットン宇宙戦車楽隊の機銃掃射をぬってひたすら光の線で取り囲み攻撃を分散させれば、静かに接近したカーラが至近距離で火砲を放つ! 「クリムゾンインパクトスマッシャー!!!!!」


業火一閃! 戦車装甲は大破したか!?

いや! 戦車もさるものというべきなのか!?

その装甲は、装甲は!?


「駄目です! こちらの砲では

敵装甲を撃ち抜けません!」


無傷だぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!


22了

(こちらは宇宙での機動戦闘が

 基本となる宇宙仕様の機体

 軽量化が求められる昨今

 装甲はさほど厚くない

 まさか戦車装甲との力の差が

 こんな形で現れるとは!!)


今や戦力差は問題ではなくなりつつあった、バットン宇宙戦車楽隊は一瞬でミナス隊の主要兵器を無力化してしまったからである、いや、何かからくりがあるはず!?


「バットン将軍?! バットン将軍!? あの鋼の塊を持ってきておいてよかったですよほほ!」「しー!? アル―チャ! 俺たちが偽装タンクであるハガネの木偶を一両キャタピラに載せてるのは秘密だからな!?」


そら装甲とか以前に鋼の塊だったら高火力砲で接射されようが無傷だわなあ!


23了

「ミナスお姉様!

ゲッタ、敵に自爆特攻をかけますわ!」


ゲッタは残った足で推力を得て、最後の戦いに出ようとするが!


「ならん! 私の指揮下で

ゲッタ、お前を死なせたとあっては

アクティバス・トロッコ様に

申し訳が立たん!」


ミナスの静止で思いとどまった、今やミナス隊は、

操縦不能に陥ったドリラを抱えたキンシュとモクアに、

片足を失い売りのスピードが今や無くなってしまったゲッタ、

相手をかく乱する手の内を大体あかしてしまったニチリ、

そして最大出力の火砲を無力化されたカーラ、

ミナスは全員を指揮するので手一杯であり攻勢に転じることは出来なくなっている。


24了

「ハハーハー! どうしたどうしたジャンよー!

 数を揃えた七つの機体、どれも大したこと無い奴らで

 まともに作家業やったことあるのかぁ!?

 これくらいの結果、予測できるのが作家というものジャンよー!」

「ヒヒヒハーハーハー!」

「よーっほっほっほっほ!」

「っしょっしょっしょっしょい!」

「カタカタカタカタ、大体、僕のおかげだろうに」


(アクティバス・トロッコ様の

 鋼のロボットなら奴らと

 互角に戦えるはずだというに!)


「待たせたな!」

ミナスの背後に光り輝く黒き鋼のロボットが!?


25了

「アクティバス・トロッコ様!」


「はっはっは!

おろかな戦車よ!

宇宙の藻屑と消えるがいい!」


宇宙戦仕様に整えられたアクティバス・トロッコの高機動装備を見よ!

バットン戦車隊ではとても勝てないのが良く分かる解説である!

そして高速移動で接近すれば、戦車隊など怖れるにたらず!


26了

「バットン将軍バットン将軍

射程距離に来ましたよほほ!」


「ばかめお前らの砲撃が

高い機動性を持つ我が

ハガネロボットに

あたるわけがあるまい!

シュッシュッシュッシュ!

どうだこの動きは!」


圧倒的な機動性を見せつけながら、ところどころで抜刀し、

刀の構えのポーズを取るこの余裕! この姿勢!

今のロボットアニメに見習ってもらいたい! 意思を感じる!

(ポーズだけやん)


27了

「きゃーアクティバス・トロッコ様あ!」

乙女達の窮地に駆けつける奴は食えねえ!

黄色い声援を浴びる奴も食えねえ!

食えねえ奴に食らわせる一撃なんざ決まりきっている!


「くらえ! スプラトゥキャノン!」


「だからそんなもの余裕でかわせると

いっているだろうが!

むっ!? 馬鹿なもともと私に

当てる気が無いだと!?

ま、まさか!?」


28了

「ご明察!

はじめっから

ビッグヒットを

狙ってるジャンよぉぉぉぉぉぉぉ!」


弾を外してはるか遠くに飛ばしているというのに、

狙っているビッグヒットとはなんだというのか!?

気でも狂ったのかバットン宇宙戦車楽隊!?


29了


ベチャアアアベトベトベッチャーンチュベチュベェ!!!!!


『スペースコロニー外装に被弾!!

 防衛部隊なにやってんのおぉぉ!』


「そ、そんなアクティバス様!

コロニーが攻撃されてる!?

私たちが盾に!」


「ま、待て!

よすんだミナス隊!

女子が泥をかぶるのは

読者の性癖的に良くない!」


「ではアクティバス様が盾にと!?

そんなことさせられません!」


「い、いや!

私が盾になると

奴らの誌面になってしまう!

かといって私がかわしてしまうと

コロニーが誌面にされてしまう!?

だと!?

そんな貴様らこれが目的かあああ!!」


ペイント段程度でなにをこんなに怖れるのか!

実弾じゃなかっただけありがたく思え! って!?

一般戦車程度の実弾じゃコロニーの外壁を貫けない!

そもそもコロニーを誌面にするとは一体どういうことだ!?


30了

「その通りだぜ!

狙った誌面は落とさない!

作家の心得ここに示したり!

さあ執筆と行こうか!」


すでに出版社スペースコロニーは射程距離にある!

全ての攻撃が当たる位置!

アクティバス・トロッコが到着する頃には!

もう!

決着が!

ついていたのだァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


31了

「スプラトゥキャノン!」

「毎分400字連射機銃掃射!」

「タイプライター活字弾幕!」


カタカタカタカタカタカタカカタカタ


「や、やめろ! 貴様ら! 宇宙の広告塔たる!

 我らがスペースコロニーにそんな暴挙が許されると思うのか!?

 だれも、なんぴとも! おのれの文化の金字塔たる宇宙の輪転機を!

 犯す権利などないのだぞおおおおおおおおおおおお!!!!!」


「あ、アクティバス・トロッコ様!? コロニー外壁に企画が!?

 公募企画の文字列がどんどんと書き出されて!?」


「なあああんんだあああとおおおお!?? これはああああああ!?!?!」

月光に照らされたその文字列をみよ!


32了

「天の川大賞開催

アマチュア作家来たれ

スペースコロニー外装に誌面あり

参加者全員に百億部物理出版を約束

だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」


ババアアアアアンン!!

いったこと宣伝したことの大半は現実になってしまう!

それがコロニーの外壁になされた宣伝であれば!

出版社の看板になってしまったのであれば!

誰もがそれに向かって執筆を始める!

我々はそのように出来ている!

作家というものは期待された速さえ出せるのであれば!

もはや出版社の垣根などどうでもいい! やってやろうぜ! ミリオンダラーベイベー! どいつもこいつもトリリオンダラーベイベー! どうでもいいからぶちまけろ! てめえの性癖全開放だああああああああああああああああ!!!!!!!!!

「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」」」」」」」


33了

印刷所私掠船団がコロニーの中に特攻をかけるのと同時にばらまかれた作家の卵! スプラトゥキャノンを持ちしイカものたちの数百億人! 宇宙植民は今や!

地球人口をまるで植字されたかのように! 新聞社の輪転機で印刷されたかのように! 大量に! 爆発的に! 急増急募! 急拡大! いっけえええええええ!!


「よ、よせ!

宇宙の輪転機たる

出版社コロニーでも

その量の本の重荷には耐えきれん!」


すでに印刷所艦隊が有機物パルプスペースタンカーを動員して、特攻をかけた!

そして営業日丸丸を印刷業に掛けるべく大量の船員をありとあらゆる太陽系の宇宙港で動員して今日中に出版社コロニーを物理書籍の小天体に変える腹積もりだ!


34了

たいへん過ぎる、危険すぎる、圧倒的過ぎる!

あまりの速度に出版社王のビル頂上の城まで、

物理書籍のうずたかく積もれた巨大なピラミッドによって浸食され、

いまや出版社コロニーの空は印刷の嵐で紙が溢れてたちまち、

大金がすられる! 出版物の全ての総資産額がどんどんと世界の資産を上回る勢いだああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


「や、やめるデスゾーン!

コロニーに紙の束を運び込むのは!

ここは出版社コロニーであっても

物理書籍はやってませんデスゾーン!」


そんなことは知った事かあああ!!!


「スプラトゥキャノン!」「スプラトゥキャノン!」「スプラトゥキャノン!」

宇宙のイカもの海賊団が!

イカものたちがコロニー外壁の誌面を自作の小説でうめつくすぞおおおおおお!!


35了


外壁で色とりどりのインクで攻防が繰り広げられ、すでに重版出来が最初から決まってる状態で多額の負債を負った出版社コロニーは株価の急上昇と急落のジェットコースターを続けて、今やあらゆるハゲタカどもの株価操縦で無限の富を生み出す輪転機にされていた! この速度で金融取引されるのも未来の株式投資がAIによって支配されてるが故! そう一度没落の道を歩んだものは死ぬまで資本を吸い上げられるのだ! だれも、だれも! 防ぐことは出来ない!


「物理書籍の重さで!

コロニーが落ちるですゾーン!

これ以上はもう無理ですゾーン!」


そう! 金融面で陥落すれば!

おのずとハイパーインフレが起きて! いくらすってもお金が足りない!

きゅうきょくの金余りをもたらすし、いくらでも文化資産を刷り続けるという、回る宇宙の輪転機! 出版社スペースコロニーの勢いはもはや車軸外れて!

軌道もずれる! この状況! 完全に! 詰んでいたのだ!

積読だあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


36了

「こ、コロニーが落ちる!?」

全ての民が悟った時にはもうすでに遅し! 我々は愚かだ! 宇宙に出ても変わらない! 未来を語っても足元が見えないおぼつかない! よちよちあるきの!

トリリオンダラーベイベーだあああああああああああああああああああああああ!!


37了

「わーい、みんなで落書き落書き

小説書いて発表して

宇宙出版社コロニーを埋め尽くすの

大好きー」


そんなこととはつゆ知らずイカものたちは絵を描いて小説書いて、写真を撮ってスクショ撮り、大量の文化の担保となる原稿をデジタルデータを含め、コロニーの外壁に好き勝手綴る、これが企画のパワーか! これが企画するということのおそろしさか! これが企画主催が畏れていた作家の卵たちの反乱か! タマゴタケタマゴタケたまげたけええええええええ!!!!!!


38了

「くっ!

コロニーは落とさせん!

このアクティバス・トロッコの

意地にかえても!」


鋼鉄の機体が巨大な

スペースコロニーを受け止めて

地球への落下を阻止しようとしてる


「アクティバス・トロッコ様!

私たちも戦列に加わります!」


ミナス隊がアクティバスに続いて

スペースコロニー落下を阻止しようと

コロニーを押し上げるように

推進剤を噴射する。


「みんなー離脱だー

離れてコロニーがどんな風に

なってるか見ようぜー!」


熱心に観察するスプラトゥカノン

の民は、基本的にイカ臭くなった

誌面を遠くから眺めて読むのが好き

天体観測で星々の関係を

ウケとかセメとかカップリングして

勝手な妄想を浮かべてきた具合である


「あのコロニーの先端で

逆噴射してる人たちは百合だったね」


「そうだったねえ」


「あ、あれアクティバス・トロッコだ!

あ、なんか戦車の塊魂がアクティバスの

ハガネロボットに真っ向勝負を

挑んで突っ込んでいくよー!」


バットン宇宙戦車楽隊と!

悪の軍団エリート新鋭!「進捗どうですか」との!

最終決戦が今始まる!


39了

「クソヤロークソヤロー!

だれがお前らのシナリオ通りに

なってやるものかよ!

コロニーがあれば地球に落とせば

良いなんて何処のどいつが

教育したんだって話だろうがぁ!」



「物語の結末を書くのは俺だ!」


さっそう登場!

バットン宇宙戦車楽隊!


「来やがったな両手で頑張って

コロニーが落下しないように

噴射してるところに来るということは

お前らはこのコロニーを

落とさないように頑張るはずだ!

そういうシナリオであり

筋書が普通だ!」


「そうです!

普通のまともな教育を受けている

一般的な作家ならば

落ちそうなものは落とさないのが

基本!

それどころか原稿が落ちそうに

なっているならなおさら落とさないのが

全ての作家にとってのルール!

このミナス隊は

決して出版業界を裏切りません!」


高潔なる魂! 怪我したくない白き心!

だが白紙を真っ黒に染め上げるパワアこそが!

作家の力と知ったからには!


40了

「お姉様!」

「お姉様!」

「お姉様!」

「お姉様!」

「お姉様!」

「お姉様!」


女の友情を見ると執筆欲が

湧きあがりますね!

知ってましたか?

人の友情をGLとかBLとか

勝手に解釈する不埒な輩が作家っていうんですって!

ガールズラブとかボーイズラブとか

好き勝手カップリングさせて遊ぶの大好きなのが作家だといいます


「頭に浮かんだ俺だけのストーリー!

描くぞ俺たちバットン宇宙戦車楽隊!」


「ラジャーよほほ!」

「ラジャーっしょい!」

「ラジャーひひひはー!」


「スプラトゥキャノン!」

大量のインクが理不尽がアクティバス・トロッコを襲う!


41了

「グワーッ!!

コロニーが落ちないように支えてる

ロボットにペンキぶちまける悪党め!」


「分間400字機銃掃射!」

今やゴーストライタンに抜け目なし、大量なるタスク処理によって瞬時に結び付く作家の意思と幽霊作家の共同作業は共犯関係であり無限の未来を秘めている!


42了

「グワーッ!!

コロニーが落ちないように支えてる

ロボットに機銃掃射する大悪党め!」


「超音波振動楽曲グワーン!」

そしてこのおとをきけ! すべてのものに執筆した内容をつたえ!

固着してない余ったインクを超振動で吹き飛ばして、衆目に晒す!

創作活動の消しゴムかけ! 全ての文筆物の総決算よぉぉぉぉ!!!


43

「グワーッ!!

コロニーが落ちないように支えてる

ロボットに小説を書く反逆者め!」


その小説が問題なんだよなあ?


「あ、アクティバス・トロッコ様!」

「そ、その姿は!?」

「その小説は!?」

「ま、まさか!」

「そんなことって!?」

「こんなひどい!」

「きゃああああああああ!!!!!」


悲惨、凄惨! その姿!

誰が予測しただろう!?

どこで未来を間違えた!?

我らが人生誤った!?

大体の奴は踏みそこなった!

俺たちだって間違った!

それでもここまで間違えない!

イカものたちでも触れえぬ禁忌!


「ど、どうしたのだミナス隊!?

今コロニーを支えなければ

この先、出版業界の未来は無いのだぞ!

地球の物理出版の重さで

潰れてしまうような版元であると

後世まで語り継がれて!」


(なぜ、誰も手を貸さん!?)


怖れよ! 畏怖の塊を!

百合に挟まる怨恨叙事詩!

我らが憎むべき邪心!


「くそっ!

ドローンよ、俺のロボットの状態を

確認するんだ!!

くっここまでびっちりと

短時間で書き込むだと?!

なになに

百合の園で暮らしてるお嬢様方

お姉さま方が次々と種付けおじさんに

種付けプレスされて発見される

怪奇事件を暴く連続推理小説、だと!?

クソが!

こんな小説を書く馬鹿が

どこの界隈にいやがるっていうんだ!?」


集まる百合厨の視線を一心に浴びて

鋼鉄の巨体に刻まれた物語が

いますべての文民の前に晒される!

そう歴戦錬磨の期待の文豪が

その体で示す物語とはなんだ!

百合ップル種付けプレスおじさんだ!

バ美肉おじさん百合ップルとかじゃないぞ!


はっ!? こんなの描いたら!

お姉様にしかられてしまうのでは!?


「ま、待て!

このアクティバス・トロッコが

こんな低能な小説を描くはずが

ないではないか!?

待つんだ!

私は百合を深く理解している

たぶん私たちは再び友達になれるはずだ」


「失望しました」


百合厨とミナス隊に

突き付けられる

合同巨大機銃

”ユリベアリングストームランチャー”である


「ああぁあぁぁあああ!!???

やめてくれえええ!

やめろおぉぉぉ!

俺は悪くない!

百合厨怖い百合厨怖い

百合厨いやああああああああああ!!」


ビシャアアアアアアンビシャ!

シュビラビッビームビビムビーム!

ユルユルユルユリユリユリ!

ドジャッジャーンアラシ!


黒き鋼のロボットは

消し炭となって吹き飛んだ!


「な、仲間割れするなデスゾーン!?

く、イカども!

コロニー外壁に書くだけ書いて

原稿一杯詰め込んで

コロニー中の印刷所がフル稼働なのは

いかがなものかデスゾーン!」


44

今やそこらのイカちゃんが、ゲッソーげっそり出版王に、

あっというまに交渉の談に立ててしまうこの世の中よ、

そう人々はいつだって進化してる!


「えーっだって

描き放題刷り放題出版オーケー

誌面大解放だっていうから

期間限定イベントだからとかで

ついつい筆が乗っちゃって

イカ墨フル充填で描いちゃったZO!

と!」


スペース出版社コロニーは

物理書籍とインクの重みに耐えかねて

大量の原稿を抱えて!

今まさに周回軌道から完全に外れた!


圧倒的展開! 我々は絶滅してしまうのか!?


「落ちるわ!」

「お姉様、退避しましょう!」

「地球突入軌道!」

「お姉様、我らの機体も一旦地球に!」

「私たちなら何度でもやり直せますわ!」

「もう邪魔者はいないのですから!」

「正義のために生きましょう!」


熱圧縮にジリジリと近づきつつある大コロニー!

そうである! 我々は再び!

過ちを犯そうというのか!?


「うううぐぐぐうううう!!???

駄目デスゾーン!?

物理書籍の重さから解放された

無重力宇宙植字たちがこんな古典的な展開で

終わるのデスゾーン!?!?!?」


まわる宇宙の輪転機!

物語のすべてを印刷する

出版するという意気込みで

シェア獲得を狙った一つのコロニーが!

今昔日の終わりを迎えようとしている!


「デェェェェェスゥゥゥゥゥゾオォォォン」


まさにコロニー落下のデスゾーン!

大気圏の熱圧縮にやられて

大量の誌面が燃えていくが

コロニー外壁も黒焦げになるが

コロニーの質量はそのまま

地球に突っ込んだ!


ドカーン!

悪は滅んだ!


「やったぜ! また一つ出版社を

落としてやった!

これで俺たちの執筆の自由が!」


ガガガガガガガガガガガガガガ!


「バットン将軍!バットン将軍!

よほほ! 落ちちゃいます!

私たち地球に落ちちゃいますよほほー!」


「バットン将軍!バットン将軍!

オチっしょい!オチを考えて!

無かったっしょいですっしょい!」


「ヒヒヒハハハーヒーハー!

どうやって乗り切るんだヒーハー!?」


「おまえたち!

大気圏突入ミッションだ!

全員戦車外活動で熱圧縮干渉幕を展開!

みせてやろうぜ!

これが! おれの! 俺たちの!」


「「「「ハッピーエンドだ」」」」


全員で宇宙合体戦車を括り付けて

緊急無事に熱圧縮干渉幕を結わえ付け

戦車に宇宙服で戻れば

すぐさま大気圏突入軌道に入る!


「俺たちバットン宇宙戦車楽隊!」


陽気な奴らのお帰りだ!

地球ごしの日の出を宇宙から見て

さわやかなコロニーの爆風が

世界をオーロラで包み込む!


見るんだ!


地球に衝突したコロニーからあふれ出る

大量の誌面を!

俺たちは無事に大量の誌面を

獲得したんだ!

地球を覆っていく誌面の幕が

人類を滅ぼさんという驚異の

太陽風から地球を未来永劫

護ってくれる!


ここに新たなる層が開拓された!


購買層と読者層が拡充された!


コロニーから出てきた大量の文化資本は

まわる地球の輪転機となってリサイクル

かくて地球の自転軸とともに

出版される毎日の流れは偉大そのもの

小説日報が毎日のようにで並び

小説新聞が至る所で日刊で飛ぶように

売れに売れて我々は!


”紙”になったのだ!


この同人誌あふれる新たなるお花畑銀河

を生き残るのは!


「バットン戦車楽隊!」


戦車に咲いた巨大なパラシュートは

天高く舞い降りる天使の白い花!

その時歴史は大きく百合動いたのである


めでたし!

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