第7話

     ◯ドラゴンたちの巣の最寄りの街の宿にて◯


「なあレシア、テイムチケットってどうやって使うの?」


「えっと、相手の頭または胸にチケットをあてて『私に従え』って言うとできるらしいわ」


「接近しないと行けないわけか、相手によっては辛い場合もありそうだね」


「あくまで噂ではあるけど、ドラゴンのような知能の高い相手は、試練を与えてきて、それをクリアするとテイムできるらしいのよ」


その試練をクリアできずに数多の冒険者がその命を散らしてきた。

だがクリアできたものもいて、彼らが内容を公開したらしい。


「どんな試練かわかる?」


「ブレスを対処できるかどうか、だったはずだわ」


「割となんとかなりそうか?昔と同じぐらいの威力の剣本来の力を使えば」


「そうね、多分なんとかなると思うわ」


ちなみにドラゴン自身が使える属性は1つしかなく、何属性のドラゴンを狙いに行くかで難易度が大きく変わる。


真剣な顔をしてレシアが口を開く。


「シェアン、闇龍を狙いに行ってもいい?」


「いいけど途中でピンチになったらすぐに引くこと、そのことを守ってくれたら僕はいいと思うよ、戦力的にもね」


闇龍と本気で一対一で殴り合うわけではなく相手が出してきた試練を突破するだけなら戦力的には足りている。


「ありがとう、本命の闇龍以外の龍に対して魔力を使いたくないから」


レシアの切り札である幻想級の剣の本来の力は膨大な魔力を使う。いくらレシアの魔力量が底なしと言えどおいそれと連発はできない。


「もう夜も遅いし明日に備えて寝ようか」


「おやすみ、シェアン」


「ああ、おやすみ」




    ◯sideレシア◯


私の要望で一番難易度が高い龍を捕まえに行く。昔からの夢だったドラゴンをとうとうテイムすることを考えるとなかなか寝付けない。


「ねれないから、シェアンのところに行こ」


この旅が最後の二人っきりの冒険だと思うと少し寂しい。本音を言うと、この先もずっと2人のほうが嬉しいのだが、ダンジョンの最下層に行くと決めたからにはこのままでは戦力不足であることも感じつつあるのだ。


「シェアン、起きてる?レシアよ、入ってもいいかしら」


「うん、いいよ」


「いよいよね、冒険者になる前からずっと目指してて、そのために途方も無い時間を鍛錬に費やしてきたもの。それでいよいよ明日となると寝れなくてさ、こっちに来ちゃった」


「僕もワクワクしてるよ、なにせ伝説の存在に会いに行くのだから」


「ねぇシェアン、一緒のベットで今日は寝てくれない?その、いつものおまじないをかけてもらいに来たのだけど」


不安になりそうなときに私はいつもおまじないという名目でを頭を撫でてもらっている。

自分の頬が赤くなっていくのを感じたけれど、このおまじないをやってもらわないとなにか嫌なことが起きそうなので必死に頼む。シェアンに撫でられると精神が落ち着く。


「ああいいよ、一緒に寝ようか」


「うん、おやすみシェアン」


「良い夢を、レシア」



    ◯sideシェアン◯


危なかった。レシアが腕の中ですやすやと気持ちよさそうに寝ている横で、僕の理性と本能が戦争をしていたが、接戦を制したのは理性であった。


「ドラゴンをテイムしたあとは後で大変なんだよなぁ」


熟睡してるレシアは僕の独り言ぐらいの声では起きないので少しぼやく。歴代の、ドラゴンをテイムしたものは国王陛下に謁見をしていたし、どうでもいい貴族のパーティーにも呼ばれていた。そして一応僕らも貴族の一員なので、僕らがパーティーを主催しなければいけない。祝い事にはパーティーを、という面倒な習慣にも困ったものだ。


「まあ、レシアのためだと思って頑張るしかないかぁ」


そう言って僕もまぶたを閉じた。


    ◯


街の中心部にある鐘の音で僕らは目覚めた。今日から僕らは1週間かけて巣に行き、ドラゴンをテイムする。目当てのドラゴンの巣の前に最終日の1日前に到着し、最後の確認をする予定だ。


「さあシェアン、準備はいい?」


「すべて揃ってる。道中の敵、魔物は僕に任せてくれ」


「準備よし、体調よし、天気よし…いざ、しゅっぱつ!」




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レミノール叙事詩 @0iya

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