第50話 DEAD OR ALIVE?(1)

 

 パイオハザーの街についた時には、既に夕方になっていた。

 サブイベントはゾンビイベントのためか夜から開催のようである。

 会場となる広場では舞台が急ピッチで組み立てられていた。

 まだまだ開始までは時間がありそうだ。


 参加者が、ぞろぞろと集まる道で優子は流れに逆らう。

 何かを探しているようだ。

 気になったのかプアールが声をかけた。


「優子さん、なにかお探しですか?」

「まあね。アイちゃんの家族を探して、引渡そうと思ってね」

 アイちゃんは、相変わらず、プアールの頭に噛み付いている。

 ガジガジ!


「そうですね。これ引き取ってもらわないと私の身が持ちません」

「あんたのためじゃないわよ。アイちゃんのお母さん病気で寝たきりなんだって。そのためにオタンコナッシーまで薬を買いに行ってたんだよ。偉いでしょう」


「へぇー」

 プアールは、小指で鼻くそをほじりながら答えた。


「何その反応! もうちょっと感動しなさいよ!」

「だって、その袋の中、チョコレートですよ」

「へっ?」


「私、megazonでバイトしているから分かるんですよ。それ、コーティングしたチョコです! めっちゃ美味しいですよ!」


「なんでmegazonで働くのと関係があるのよ! 大体、あなた配達員でしょ!」

「アホですか! 売れ筋商品は、倉庫にストックが大量にあるんですよ」


「あんた……まさか、勝手に食べてるんじゃ」


 ドキ!


「い、嫌だなあ。梱包が破れているのを廃棄しているだけですよ」


「廃棄率は?」

「0.3%ぐらい」


「嘘おっしゃい!」

「はい、30%ぐらいかな……」


「神様! ここに横領犯がいますよ!」

「やめて下さい! 本当に聞こえてしまいますから。そしたら、私、明日から、なにを食べて生きていけばいいって言うですか! 後生ですぅ……」


「いいわ! とりあえずアイちゃんのお母さんを探すのを手伝いなさい」

「どうするんですか?」

「とりあえず病院かな?」


「えぇ、面倒ですね! ここは、能力者に頼りましょうよ」

「能力者?」


「はい! ちょうどアソコに!」

 プアールが指差す先に一人の老婆。

 どう見ても占い師である。

 占いでどうするのよ!

「意外と当たるかもしれませんよ!」


「スミマセン! この子のお母さんの居場所を占って欲しいんですけど」

 優子は、とりあえず、ダメ元で聞いてみる事にしたようだ。


 !?

 占い師はアイちゃんを見ると驚いた。

 もう死んじゃうんじゃないかと思うぐらいに驚いていていた。

 見た目、90! 結構、年だからね。おばあちゃん! 大丈夫?


「どうしたんですか?」

「まさか、まさかその子はアイちゃんか!」


「えっ! アイちゃんの事、知っているんですか!」

「その子は死んだはず!」


 ぎく!


 プアールは、とっさに否定した。

「生きてますよ! 嫌だなあ……」


「私の占いが外れるとは、これで的中率が99.88%に落ちてしまったではないか……」

 99.88%ってすごくない? もしかして、アイちゃんの事も当てていたと言うの?

 恐るべし!


「ちょっとアイちゃんのお話、詳しく聞かせてくれませんか?」

 優子は、態度を変えた。なぜなら、このお婆さん何か知っている。って、誰でも気づくよね……


「なに、ただでか?」

「ハイ」


「嫌じゃ」

「どうしてですか!」


「ワシは超売れっ子の占い師じゃ! 今まで、いろいろな物を的中させてきたのじゃ!」


「例えば?」


「お主! 女じゃろ!」

「ハイ」

「正解! 的中率アップ!」

「はぃ?」


「そこのお主、電気止められているじゃろ!」

 プアールは、口をつむんで、目をそらす。

 確かに電気は止められている。

 電気どころか、水までも。

 だから、体は、配送センターの給湯室の流しで洗っているのだ。

 だが、先日、それすらもタダノ課長に見つかり、給湯室に鍵をかけられてしまったのだ。使用不可!

 体を洗うのとができないプアールは、確かに臭っていた。

「くっ! ……ハイ」

「正解! 的中率アップ!」


「そこのお主、変態じゃろ!」

「俺は変態じゃない。ドラゴンだ!」

「正解! 的中率アップ!」

 ……なんで?


「と言うように、わしの占いはことごとく当たるんじゃ! だから、情報もとても高い!」

「わかりましたよ払えばいいんでしょ」

 優子は、手を差し出した。

『チャリン! お支払い完了しました』

 老婆は、満足した。


 ちなみに情報料は、500円!

 高っ! by プアール

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