第15話 新たなる世界(1)
あらゆるモノたちが、行き場を求めて優子のもとへと集まってくる。
知識やスキルなど、無形のものは優子の体の中へと入っていく。
お金や装備、アイテムなどは、優子の持つ『いっぱい入るスクールバック』へと収まっていった。
アルガドラスの世界中のモノが全てである。
いやー凄い!
何がすごいって、アルガドラスの世界には、当然いくつもの国家があったのだ。
その国家規模のお金や装備が一つに集まってきたのである。
そして、世界中の物量が、そのスクールバックに収まっているってんだから驚きだ! しかし、このスクールバックの仕組みはどういう風になっているのであろうか?
まさか四次元ポケット? トラ●もんか!
いやいや、そんな高次元の仕組みではない。
このスクールバック、単にmegazonの巨大な倉庫と直結しているにすぎないのである。
要は、megazonの倉庫に全部、放り込んだだけ。
面倒くさがりの●び太君が、ママに叱られるのを恐れて、部屋中のおもちゃを押入れに適当に押し込むのと一緒である。
あっ、押入れには、トラ●もんがいるから無理か!
しかし、星一つ分の物量である。
それはそれは大変な物量である。
スクールバックとつながっているmegazon本社のストックヤードが優子一人のためにすべて使われてしまったのは言うまでもない。
まさか、megazon本社も『固有スキル貧乏性』と『いっぱい入るスクールバック』のチート級のコンボ技があるとは思っておらず、今後このようなことが起こると採算が合わないと判断した。
これ以降、megazonネットで『固有スキル貧乏性』と『いっぱい入るスクールバック』の販売は中止されたという。
ちなみに、『固有スキル貧乏性』と『いっぱい入るスクールバック』の開発担当者は、どこぞの世界に島流しにあったそうである。
さすがブラック企業。
半端ない!
優子の体は新たな世界ヤカンドレルへと転生していった。
夕暮れ時、ある川の橋の下で目を覚ました優子は、また嘆いた。
「また、レベル1からか……日本に帰るのに、いつまでかかるのよ……」
しかし、今度の目覚めは、過去四回の目覚めとどこか違っていた。
頭の中に何かいろいろな声が渦巻いている。
レベル1なのに、もう何か強力な魔法が使えそうな気がした。
そんな不思議な感覚を確かめてみる。
試しに、優子は魔法を唱えてみた。
「ファイヤーボーーーーーール!」
しかし、暗い橋の下で優子の声が響き渡るだけだった。
段ボールに包まれた、汚れた男が、かわいそうな目つきで優子を見つめていた。
魔法はダメか……
優子は悟った。
ならば剣技は……
優子は咄嗟に立ち上がると、横に落ちていた木の棒を掴み叫んだ。
「二段切り!」
またもや、暗い橋の下で優子の声が響き渡るだけだった。
しかし、今度は違った。
段ボールに包まれた汚れた男が、鼻の下を伸ばしながら優子を見ていたのである。
エヘヘ。
そう、優子は裸であった。
優子は、一糸まとわぬ姿で転生していたのである。
ごそごそと段ボールの男が裸の優子へと迫りくる。
「お嬢さん、そんなにワシを誘わんでも……」
その恐怖はいかほどのものであっだろうか。
きゃぁぁぁ!
優子は咄嗟に自分の貧弱な胸を隠すと走って逃げた。
カバンだけ持って裸で逃げた。
というか、持ち物はカバンしかないのであるが……
うん?スマホ? スマホはカバンのポケットの中に入っているよ。
たぶん……
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【お待たせ! 転生完了したよ!】
氏名 木間暮優子
年齢 17歳
職業 女子高生
レベル 1
体力 50
力 10
魔力 1
知力 1
素早 5
耐久 5
器用 5
運 7
固有スキル 貧乏性:いらないものなら何でも引き受けます♡
死亡回数 5
右手装備 スマホ(ネット接続付き)
左手装備 スクールバック
頭装備 なし
上半身装備 なし
下半身装備 なし
靴装備 なし
攻撃力 5
守備力 2
所持金 0
パーティ なし
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