始業式

カフェオレ

始業式

 夏休み明け、二学期始業式、熱気こもる体育館での全校朝礼。

 校長の長ったらしい話をBGMにボケーっと突っ立っているだけの儀式に気が狂いそうになる。

 これから本格的に受験シーズンに入るとなると憂鬱でたまらない。こっちはまだ心の準備も覚悟も出来ていないのに勝手にそんな試練が与えられるこっちの身にもなってくれと、誰にぼやけばいいのやら。

 ふと前を見ると加奈子かなこがこちらに手を振っていた。彼女は今年同じクラスになって、夏休み前に俺の方から告白して付き合うことになったのだ。

 隠すことでもないがみんなには俺たちの関係は内緒だった。三年生最後の夏ということもあり、やはり思い出作りをしようということで一緒に夏祭りに行ったのだが、みんなに見つかり、あえなく周知の事実となった。

 そんな俺たちのささやかなたわむれをとがめるように担任の小杉こすぎが咳払い。

 頭の硬いおっさんはこれだから困る。

 そんな不満を抱いていると今度は左隣から肩を叩かれる。そちらを向くと幼馴染みの孝志たかしがにやにやとこちらを見ている。

「お前ら仲良いな、羨ましいよ」

「うるせーな、黙って校長の話聞いとけよ」

 そんな俺たちを見て、小杉はまた大袈裟に咳をする。

 孝志とは小学校からの仲で、今でもよくつるんでる。親友と呼んでもいいかもしれない。そういえば去年、こいつと二人して授業抜け出して、パチンコ行ったのバレて地獄のように叱られたなぁと思い出す。

 二人とも母ちゃんが学校に来て一緒に謝ってくれたおかげでその後、お咎めはなしだったが、やはり今でも小杉をはじめ、いろんな先生にマークされてる。クラスが隣なのも二人同時に監視するためだろう。

「つーか、お前、一年生と付き合ってるって? いいのかよ、これから大変だぞ?」

「大丈夫、俺はその辺うまくやるからな」

 孝志はどうやら同じ部活の一年生と付き合ってるらしい。こいつも俺に合わせたように夏休み前に告白したのだが、全く、何を考えてるのやら。


「それでは、始業式を終わります。三年生から速やかに各教室に戻ってください」

 開放の言葉だ。

 加奈子はいそいそとこちらに駆けてくる。

「暑くて溶けそうだったよー。早く教室戻ろう」

 そう言って俺の手を握る。みんなが見てる中でこれは少し恥ずかしかったが悪い気はしなかった。

 そんな俺の心中を察したのか、加奈子は悪戯っぽく俺を見上げて、腕を絡めてくる。

「二学期もよろしくね。翔太しょうた

「学校でその呼び方はやめろって」




「はーい、

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