エピローグ
「亜澄〜、健二くん!帰ろ!テスト勉強ラストスパートだよ。」
「健二、中間テストで地理やばかったんじゃなかったっけ?まだ今なら間に合うぞ、明日までに詰め込んだら?」
明日から、一学期の期末テストが始まる。なんだかんだで仲良くなった四人で、今日は放課後勉強会をする予定だ。校門を出て、自習ができるカフェに向かう。
「みっちゃん〜、わたし明日の英語、課題がまだ終わってないんだけど……」
「手伝ってあげるから、自力で頑張れ!写すのは無しだよ?」
「うう、手厳しい……」
亜澄はすごく悲しそうな顔をして、ガックリきている様子だ。拓海くんと健二くんも、後ろで似たようなやり取りをしている。
テストの話題が尽きたころ、赤信号の横断歩道で四人半円になって立ち止まる。拓海くんがあっと何かを思いついた様子でキラキラとした顔をする。
「テスト終わって夏休みになったら、みんなでどこか行かない?」
テスト後の明るい話題に、皆の顔にも花が咲いた。わたしたちは、目配せして声をそろえる。
「「「さんせーい!」」」
「まあまずは明日からのテストで頑張るのが先決ね。」
拓海くんからの釘刺しに、渋い顔が二人と、苦笑いのわたし。でも、未来の楽しいご褒美は、最高の夏をわたしたちに予期させた。
聴こえている、見えている世界が人それぞれ違うから、こんなやり取りも面白いのかもと、今までよりいっそう感じるそんな初夏だった。
Fin.
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