奇跡を祈る

 灯はまだ眠っている。強制的にその意識を落とされたのだから当然のことか。

「どうだ?なんとかなりそうか?」

 退屈そうなアメリアが聞いてくる。

「……もう、どうにもならないみたい。…………二人きりにさせてほしい。」


 アメリアとミリリはどこかに行ってしまった。二人きりだ。

「私は、どうしたらいいの?」

 当然、灯は反応しない。

 私には何もできない。祈る以外は。

 だから、祈る。こんな時に頼れる神はいない。だから、誰かどうにかしてください、という程度しかできない。それでも祈る。それしかできないから。


 公園の中央にある時計が14時を指したのとほぼ同時か。酷い頭痛がした。在理沙の流出防止が限界を迎え、ネットワーク上にデータ量の爆発が起きたんだろう。今にも頭が割れそうだ。


 私は強く願った。どうにかなってほしい、と。私は灯にキスをした。

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