宇宙が破滅する!

 朝倉輝の研究室内にACARIを示す個体信号が見つかったらしい。

「今すぐどうにかしなければ!この世界が、いや、宇宙が破滅する!!」

 祇園寺霊那に支えられるようにして(それでもフラフラしながら)やってきた早乙女在理沙が興奮気味に言う。

「……わかった、今すぐ朝倉輝の研究室に向かう。それで、宇宙が破滅するって?」

「ACARIの信号に集まっているデータ量が3.142掛ける十の36乗グーゴルデュプレックスバイトに達した。データ量の爆発が起きている!このままではネットワークが落ちるどころじゃない、この星が……いや、この宇宙のデータ総量が溢流を起こして世界が破綻する!」

 何を言っているのか理解できない。ただ、何かヤバいことが起きようとしていることは伝わってきた。

「イシュー発生直後、すぐにデータ流出防止措置を講じたからあと22時間程度ならなんとかなるかもしれない。ただ、それを越えるともう私にはどうにもできない。」

 制限時間は、明日……4月1日の14時頃までか。

「待って!」

 出発しようとした私の袖を紅音が掴んだ。

「私も行く!」

「でも……」

「足手まといになったって構わない、私が死ぬことになったって構わない、でも、もう離れたくないの!えりりんと離れ離れは嫌なの!」

 なんだ、それくらい。

 今までの物語は、この神話は、全て私の我儘のせいなのだ。私の我儘に世界と、灯を付き合わせてきたのだ。紅音のこれくらいの我儘なんて許してあげないとね。

「なら、早く行くよ。輝の研究室ってどこ?」

 紅音の手を引っ張って走る。

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