えるにゃん

統一暦499年8月29日午前6時11分

 恵吏えりとエルネスタのDMでのやりとりである。

えるにゃん;わざわざそちらから自首してくるとは驚きました。

Eri;あかりが決めたことを尊重しただけです

Eri;というか、そんなふざけた名前であなた本当に大統領なんですか?

えるにゃん;何ですか?大統領がプライベート用の裏垢持ってちゃ悪いんですか?

Eri;開き直らないでください

Eri;とりあえずあなたが大統領って信じていいんですよね?

えるにゃん;信じてください。何でもしますから。

Eri;ふざけるな

えるにゃん;はい

Eri;真面目な話をお願いします

えるにゃん;灯さんの処遇ですが、引き続きあなたたちに預けるということにしました

えるにゃん;こちらの設備だと逃げられてしまうことが露呈したわけですし、灯さんとしてもそちらに居たほうが精神的に安定するだろうと思いまして

えるにゃん;もちろん、機関の人間を派遣してのサポートをするつもりです

えるにゃん;徹夜で人工天使たちとの交戦お疲れさまでした

えるにゃん;ゆっくり休んでください

Eri;ありがとうございます


統一暦499年9月1日午前9時10分

 アカリはエルネスタの追手を撒く演算、ガブリエルのアクセス権限を停止する演算を完全に停止した。これで発熱量が自然冷却で賄える程度まで収まり、体調は安定した。ただ、アカリは生気がなくなったかのようになっていた。

「灯?」

「はい、なんでしょうか。」

 微笑んで恵吏に応える。

 それはまるで魂が抜けたかのようで、感情が見えない。

「……なんでもない。」

 灯は私のために諦めてくれた、だが、私は灯を救いたいのだ。何も苦しまないようにしたいのだ。

 恵吏はそんなどうしようもない自己矛盾を抱えていた。

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