【自主企画用CM】 旅する順番は、あなた自身が決めるのだ。

オロボ46

CM




presented by オロボ46




「俺か? 若いころにちょっとした会社を立ち上げ、あっと言う間に億万長者。現在は会社を子供に任せて、孤独の旅に生きるご隠居と言ったところだ」




 バックパックを背負う、顔の怖い老人。




「世界ヲ見テ回リタカッタノ。実際ニ旅ヲシテ、コノ触覚デ感シタカッタ」





 眼球の代わりに触覚の生えた、“変異体”と呼ばれる化け物の少女。





「オジイサン旅シテイルノ!? ドコ旅シタノ!? 面白イ話アル!?」

「......そんなに旅に興味があるのなら、試しにお嬢さんが旅してみるか?」




 変異体の少女は、黒いローブで姿を隠し、バックパックを背負う。


 地球そっくりに作られた、この世界を旅するために。








 変異体。


 それは、“突然変異症”によって、人間からかけ離れた姿となった元人間。





 普通の人間が変異体を見ると、本能的に恐怖という感情がわき上がる。




「......ぃぃぃいいいああああああああああああああああああ!!!」

「な......なんで......こ......こんなところに......変異体が......」

「怖い、怖い、怖い、理屈なんてない」

「見れば見るほど......寒気がするわ」





 その上、人も襲うことがある。





「私ノホテルヲ侮辱スルノカアアア!? 修学旅行ノ悪ガキドモカアアアアア!!?」

「......キレ方が弟さんと一緒ですねえ」

「人によっては人間の知能の一部分を失ってしまうって聞いたことがある。多分あいつもそうなんだろうね」




 変異体は、人間から姿を隠さなければならない。

 それが出来なければ、待つのは施設への隔離、もしくは駆除だ。




「化ケ物ハ発見サレ次第捕獲、特別ナ施設ニ監禁サレル。暴レタリシテイルト......ソノ場デ射殺サレル。実際ニ見ルト、ソノ現実ヲ受ケ入レテシマウ」

「あんたに何がわかるの!? お兄ちゃんが変異体になってから、外に出ることができない!! 学校にも行けない!! 友達に会うことだってできない!! そんなお兄ちゃんの悲しみをあんたなんかに......」




 老人は、この世界に価値を見いだせていなかった。




「この世界......いや、この星は、地球の劣化版だ。取りえと言えば、すべての不安を変異体に押し付ける、腐敗した人間たちが幸せに暮らせることぐらいだ。そんな世界に見て価値のある物なんて......」




 そんな彼に、変異体の少女は語りかける。

 眼球代わりの、触覚を揺らしながら。





「自分ノ触覚デ見サセテヨ、コノ世界ノ価値。写真ヤ言葉ダケデナク、コノ触覚デ」






 この物語は、ふたりのバックパッカーの旅路を中心に、世界に対して独自の考えを持つ人間と変異体の生き様を描いた、空想旅行記である。








         化け物バックパッカー








●独立しているようで、どこか繋がっている短編集


 旅先で出会った出来事を、ひとつのエピソードとして描かれているこの物語は、いわゆる連続短編である。

 ほのぼのとしたエピソードから世界観に踏み込んだ暗いエピソード、サブキャラクターを主人公としたエピソードなど、多種多様なエピソードが展開される。

 最初のエピソードを見た後は、そのまま順番に読むのもよし、気になったエピソードから読むのもよし。残酷な展開があるエピソードには★マークが付いているので、苦手なら飛ばしても問題ない。

 旅する順番は、あなた自身が決めるのだ。


 独立して気軽に読める短編集。それでいて、長編作品と同じ読み応えも兼ね備えている。

 旅先で出会ったキャラクターがそのエピソード限りの登場と断定することはできない。意外な形での再開、別主人公との絡み、さらには、主人公となったキャラクターもいる。

 あなたの旅の経験も、旅の驚きの一部である。



●魅力的なキャラクター達


 変異体の存在する星で、さまざまな価値観を持つ多数のキャラクターたち。

 その中でも、名前が判明し、あなたを旅に導くのは以下の7人だ。


・すべてを見て回る変異体の少女 『タビアゲハ』

「......私、コノ姿ニナル前ノコトハ覚エテイナイ。ダケド、ナニカヲ見ルコトガ、スゴク幸セニ感ジテイタ」


・世界の価値を探し求める老人 『坂春さかはる

「平たく言えば、落ち込まなくたっていいってことだ。誰も変異体を見続ければなれてしまう。坊やはそれが早かっただけだ」


・奇妙な幼少期を持つ変異体ハンターの女性 『晴海はるみ

「そんなの、偶然に決まっているよお。仕事で見慣れている肉を食べることができない、ベジタリアンなあたしは野菜がないと食欲が落ちるんだからあ」


・晴海とともに行動する変異体ハンターの男性 『大森おおもり

「俺、会ってみたいんですよ。夢を持ってて、それをかなえようとしている変異体。最後の警察の仕事で出会った、あいつの言っていた夢をかなえ続ける変異体に」


・街の片隅で人形店を営む変異体 『祐介ゆうすけ

「変異体が旅......考えたこともなかったな......でもよく考えている。そのローブで変化した部分を隠せれば、人目につかずに歩けるわけだ」


・大切な兄を守る祐介の妹 『真理まり

「ごめんなさい、お兄ちゃん......でも通してしまったら......お兄ちゃんが見つかる......」


・変異体を対象としたビジネスを行う商人 『信士しんじ

「貴様のような美しいお嬢さんのことである。貴様という言葉は主に侮辱として使われているらしいが、これは我輩の第二人称だ」




 さらに、各エピソードには印象に残る登場人物との出会いが待っている。


・車になった男

「自動運転ニオシャベリ機能ヲ付ケタ車ナンテ、俺以外ニ存在シナイゼ」


・懐かしい雰囲気を持つガソリンスタンドの店長

「いえ、あたしは店長なんですよ。もっとも、従業員はあたしひとりなんですけどね」


・死の覚悟を決めたしゃべる屋敷

「オオ、アナタガソウデスカ。ソレデハ、私ヲ殺シテクレルノデスナ?」


・花屋を営む変異体

「“バラ”ノ“トゲ”ハ視界カラ外レタ時ニ刺サルノ。デモ刺サッタカラッテ落チ込ンデモ仕方ナイデショ? 刺サル未来ナンテ分カルハズモナインダカラ」


・大雨の日に結婚式をあげる新郎新婦

「ああ、これで僕たちはいっしょさ......永遠に」

「でも、牧師さんはどうしましょうか......この大雨では、きっと帰られていられるかと......」


・まとわりつく影を持つ発明家

「なあ、今度は君が教えてくれ......なぜ化け物と旅をしているんだ?」






 ここは、地球とそっくりに創造された星。


 地球と似た建物、地形、自然、人々が存在する星。

 

 人間に見つからないように暮らす“変異体”が存在する星。


 世界に対して独自の考えを持つ、人間と変異体が存在する星。


 バックパックを背負う人間の老人と、変異体の少女が旅をする星。






「始めて出会ったあの日、タビアゲハはこの世界の価値を見せてくれと言っていた。その時から俺は、逆にこの世界の価値を見させてくれると期待していたのかもな」






化け物の少女、地球のレプリカを旅する 





出会うのは希望か、それとも――







化け物バックパッカー

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895479999


以下のサイトで連載中

「カクヨム」

「小説家でなろう」(「ツギクル」で外部URL登録済み)

「アルファポリス」

「マグネット」

「ノベルアップ+」


更新日

短編単体は毎週金曜日

まとめた短編集は毎週土・日更新

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