JK(元♂)幸せになる

翌朝、ユウトが学校に向かって歩いていると、背後から女子が声をかけて近づいてきた。


「やっほー、ユウトくん」

 アキナだ。晴れやかな笑顔だった。

 その先にイオリが見える。


「おっす、アキナ。調子良さそうだね」


「おかげさまでね。

 昨夜、楽しかったよ。

 みんなからの評判も良かった。

 またよろしくね」


「うん。それは良かった。

 うちのギルメンにも評判よかったよ。

 みんな初々しくて可愛かったし、

 アキナと久々に遊べて喜んでたよ」


「そっか、ならよかった」


「あのさ……いろいろごめんね」


「いいよ、もう。

 私さ、幸せだよ?

 いまは感謝してるんだ。

 灰色の世界が、華やかに塗り変わった気分。

 だから、もう、気にしないで」


「……そっか、わかった」


「じゃ、またね」


 そう言うとアキナは、イオリの元に走っていく。

 アキナは、イオリに腕を絡め、身を寄せて嬉しそうに微笑んだ。


 学校でも、アキナは微笑みを絶やさなかった。

 女子達に溶け込み、笑顔でお喋りを楽しんでした。


 ユキトの隣の席の女の子は、女子としてすっかり独り立ちしていた。

 自らの意思で、女子としての生活を満喫しているように見えた。

 

 ユキトには、アキナがすこしだけ眩しく見えた。


 ユキトは、男子が女子に抱く気持ちを、すこしだけ理解できるようになった気がした。性別の交換を通して、自分が得たものと自分が失ったものがなんとなくわかった気がした。



 休み時間、アキナが話しかけてきた。


「ユキトくんさ、今日はずっと私のことばっかり見てるよね?

 あんまりじろじろ見ると、ユカリに言いつけちゃうよ?」


「なんかさ、嬉しくなっちゃって。

 ボクの負の部分を押しつけちゃったから、自責の念を感じていたけど、

 今日のアキナはとても華やかで幸せそうだから、安心しちゃったんだ」


「言ったでしょ?

 私は、幸せだって。

 改めて言うね?

 ありがとね、ユキトくん、私と性別を交換してくれて」

 

「……こちらこそありがと。

 ボクも救われたよ。

 本当にありがとう。

 心置きなく幸せになれる」


「うん。お互いに幸せになろうね」

 アキナは、満面の笑顔をユキトに向けた。


「うん」

 ユキトもアキナに笑顔を返す。



……



 イオリとアキナは、学校が終わると、すぐにアキナの家に向かった。


 イオリは、制服を脱ぎ、下着姿になると、まだ服を脱ぎ切っていないアキナを背後から抱きしめ、首元にキスをした。


「イオリ、脱ぐの早いよ……」

 イオリはアキナの顎に手を当てて、顔を優しく横に向かせ、口づけを交わす。


「私が脱がせてあげる……」

 イオリは、口づけを交わしながらアキナの服を脱がせ、両手で、アキナの体を愛撫した。


 イオリは、|一頻<ひとしき>り、愛撫を楽しんだ後、アキナをベッドに座らせる。

 

 イオリがアキナの隣に腰を下ろすと、アキナはイオリに寄り掛かり身を預けた。


 イオリは、体の向きをかえて、アキナと甘いキスを楽しむ。


 そして、アキナを優しく寝かせると、二人は心ゆくまでしっとりと愛し合った。 



……



 事後。


 アキナは、イオリの腕枕に寄り添いながら、余韻を楽しんでいた。


「アキナは、元男子じゃないね」


「えー、元男子だってば」


「男らしさのカケラはどこにいったのかな?」


「どこにもないかも……」


「それが嬉しいくせに」


「……うん、今は女子だし」


「私もそんなアキナが大好きだよ」


 イオリがアキナに口づけをする。

 アキナも嬉しそうに受け入れる。


「たしかに私、男らしさのカケラもないくらい女だよね……。

 てかメスって感じ。

 すごく自覚がある。

 なのに、恥ずかしいどころか、それがとても嬉しい。

 イオリのことがとても愛おしくて仕方がなくなってさ、

 メスとして発情してる自分を抑えきれなくなるの」


「エロ可愛いな……。

 ムラムラしてきた。

 もうちょっとしよっか?」


「うん」



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