JK(元♂)、JKと親友になる
昼休み。
アキナは、ユカリに誘われて、その日の昼食を二人きりで取った。
ユキトは、イオリと二人きりで話をするために別行動だった。
アキナが、仮とはいえ、ゲーム内でユキトの彼女として振る舞っていたこともあり、ユカリとは妙に話があった。
アキナとユカリは、ユキトの話題だけでなく、他の話題もよく噛み合っていた。
アキナの部屋にある女性向けの書籍や雑誌類は、他の女子達と話を合わせるため、ユカリがユキトのために選んだモノだとわかったからだ。ユキトから提供された新品の衣服や下着などを選んだのもユカリだった。
アキナは、それらを利用しているので、ユカリとは趣味が近くなっていた。
アキナは、現在も書籍や雑誌類を継続して購読していたので尚更だった。
ユカリが言う。
「アキナって、いろいろな意味で、私と同性だよね?」
「あー……それ、思った。そうかも。
イオリとユキトくんが実際の性別が違っても同性みたいな感じでしょ?」
「うん、それそれ」
「イオリのグループは女子同士の恋愛の場みたいな感じだから、ユカリと話してると新鮮な感覚があるね」
「彼女役の子とは話は合わないの?」
「みんなと話は合うよ。
でも、ユカリほどでは無いかも。
ユキトくんと関わってた時間が長かったせいかもね……」
「なんとなくわかる。
彼、強引で自分勝手だしね……。
あれに振り回されないと理解できない境地ってあるよね?」
「うんうん。お互い、苦労してきたんだね……」
「アキナ、連絡先交換させてもらってもいい?」
「もちろんだよ、たくさん話そ?
気軽に連絡頂戴ね?
私からもするから」
「うん、よろしく」
アキナとユカリは、連絡先を交換すると、旧知の親友のように仲良くお喋りを続けた。
……
昼休み。
別の場所。
イオリとユキトが、昼食を取りながら話をしていた。
ユキトは、アキナとの事のあらましをイオリに告白していた。
「ほんとに、酷いやつだよね。アカサキは」
「自分でもそう思う。
申し訳ないと思ってるけど、後悔はしてない。
非難は甘んじて受けるよ」
「でも、私が非難する事じゃ無いからね。
アキナが許したのなら、それ以上はなにも言うつもりはないよ。
それに、アキナが女性にならなければ、私はアキナと結ばれてなかったわけだし。
かなり複雑な気分。
もしかしたら、私はアカサキと同類なのかも……。
でも、今のアキナは幸せそうにしてくれているから、ほんと、何も言えないかな」
「アキナとはこれまで通り付き合ってもらえる?」
「もちろん。
手放すわけないじゃん、あんな可愛い子。
てか、なんでアカサキがアキナの保護者面してるの?」
「ボクの責任だからね」
「責任は取らないといけないと思うけど、
アキナは私の彼女だし、別れるつもりもないのだから、
これ以上は口を出して欲しくはないかな」
「ならそうする。
でも、いつでも協力するからそのつもりでいてよ」
「うん。気持ちだけはわかった。
これで話は終わり?」
「あと、ゲームの、『YXR』の話なんだけどさ、ボクのギルドと協調しない?」
「えー、男もいるんでしょ? 嫌だよ」
「いるけど、みんな大人で、いい人しか加入させてないから大丈夫。
半分以上は女性だし、既婚者も多い。
アキナも物足りないと思うんだよね、
全てのコンテンツをプレイできないのってさ。
それに、みんなアキナの知り合いだから、アキナも喜ぶと思うんだ」
「それを言われると、ちょっとな……。
私のギルド、プライベートルームでおしゃべりが中心だし」
「お喋りも楽しいけど、コンテンツ消化するのもたのしいからさ。
社会人の女性も主婦もいるし、いろいろ参考になると思うよ?
向こうもJK相手ならすごく優しいしね。
迷惑かけても気にしないよ」
「へー、そうなんだ。
ギルドメンバーの気持ちもあるから、
私一人では判断できないけど、
みんながOKなら、試してみてもいいかな……」
「ほんと?」
「みんながOKならだよ? 保証はできないからね」
「わかってる、ありがと。
大丈夫そうなら、ゲーム内で連絡してよ。
ユキト=ミナヅキってキャラだから。
待ってる」
……
その日の夜。
イオリのギルドとユキトのギルドの合同イベントが開催された。
イオリのギルドメンバーのLv帯に合わせたレイドイベントを開催したのだ。
Lv差があってもレイド参加者は、同じLv帯の強さにプレイヤーキャラクターの強さが自動調整されるので、ユキトのギルドメンバーもほぼ同条件で参加できた。
ユキト達のアドバイスにしたがって、イオリ達は初めてのレイドを体験した。
イベント終了後、イオリ達は、いつものようにプライベートルームでお喋りを楽しんでいた。
リホが言う。
「なんか、すごい楽しかったね、レイド。
みんなで協力しないと倒せないギリギリの戦いが熱かったよね。
まだ興奮が冷めないよ」
エリが言う。
「うん。今まで放置してたけど、楽しいコンテンツは、お洒落とお喋りだけじゃないってことがよくわかった。
最後の方、かなりドキドキしたよ、ギリギリでやばかったもんね。
てか、向こうのギルドのお姉さん方、すごーい頼りになるよね?
超絶タイミングで回復魔法や支援魔法使ってくれてさ。
攻撃も私たちに当たらないようにしっかりガードしてくれてたしさ、
マジで惚れちゃいそうだったよ」
ミチルが言う。
「出た、エリの浮気性。
でも、たしかに、お姉さん方カッコよかったね。
たのしかった。
Lvも上がっちゃったし、報酬も美味しいし、いいこと尽くめだったね」
イオリが言う。
「私も、これ程とはおもってなかった。
ユキトがうるさいから、付き合いで一回だけっておもったてけど、これはまた開催しないとだね」
ユカが言う。
「うん。是非そうしてよ。お姉さん方ともお知り合いになりたいし。
お兄さん方も大人で優しかったから安心できたね。
『学校の男子は見習えよ』っておもった」
リホが言う。
「あはは、そうだよね。同じ男性でも全然ちがう生物だよね。
男性陣は既婚者ばかりって言ってたけどそれもあるのかもね」
イオリが言う。
「ユキトが厳選したって自慢げに言ってたからね。
一応、元女子だけあって、見る目はあるのかも」
エリが言う。
「うん。あのギルドなら安心して一緒に楽しめるね」
イオリが言う。
「じゃ、次のイベントも開催する方向で進めるね?」
「「「よろしく」」」
……
ゲーム終了後、アキナにイオリからスマホの通話アプリに連絡が入った。
「イオリ? どうしたの?」
「二人で話したくなっちゃった」
「ん?」
「今日のお昼にユキトから全部聞いた」
「そっか……ごめんね黙ってて」
「気にしないで。でもこれからは全部私に話してね?」
「うん、ありがと」
「愛してる」
「私もイオリが大好き」
「アキナはこれでよかったと思ってる?」
「うん。今はそう思ってる。
イオリがいてくれるし……。
それに生まれて初めて親友ができたんだ」
「ユカリ?」
「うん。すごく話が合うんだ」
「妬いちゃうな」
「大丈夫だよ。お互いに恋愛対象じゃないから」
「なら、応援してあげる」
「ありがと」
「愛し合いたいけど、時間的に無理か……」
「だねー……残念。明日、うちくる?」
「うん、そうする」
「ん。わかった、準備しておくね」
「よろしく」
「いっぱい甘えさせてもらうからね?」
「まかせて」
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