曼珠沙華にかげ落としゆくこてふかな

【読み】

まんじゆしやげにかげおとしゆくこてふかな


【季語】

曼珠沙華〈秋〉


【語釈】

こてふ(胡蝶/蝴蝶)――①昆虫チョウの別名。②紋所の名。チョウの形を図案化したもの。

[デジタル大辞泉]


【大意】

ヒガンバナに影を落として行くチョウである。


【付記】

良いことかどうかは知らないが、中七を初めてとして句にわたしの趣味がにじみ出ているように思う。それだけにマンネリズムに陥らないよう自戒したい。


わたしは、ヒガンバナにチョウが止まっているのを見た記憶がない。ヒガンバナに蜜がないか、あったとしても毒が含まれているのだろうか。


【例句】

胡蝶にもならで秋ふる菜虫哉 芭蕉

猫の子のくんずほぐれつ胡蝶かな 其角きかく

夕日影町半まちなかにとぶ胡蝶かな 同

堀川の畠からたつ胡蝶かな 太祇たいぎ

釣鐘にとまりて眠る胡てふかな 蕪村

うつつなきつまみごころの胡蝶哉 同

傾城けいせいの傘の上行く胡蝶かな 麦水ばくすい


蝶ひとつとばぬ日かげや石蕗つはの花 其角

みじか夜や三味しやみせんぐさに蝶のかげ 巣兆そうちょう

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