恥のかずくらべてみたし桜桃忌
【読み】
はぢのかずくらべてみたしあうたうき
【季語】
桜桃忌〈夏〉
【語釈】
桜桃忌――昭和23(1948)年6月、39歳で愛人と入水自殺した小説家、太宰治の忌日。遺体が発見された6月19日を命日とし、墓のある東京都三鷹市の禅林寺で法要が行われる。作品「桜桃」による命名。
[デジタル大辞泉]
【大意】
故人と恥のかずを比べあってみたい、太宰治の忌日である。
【付記】
太宰治(1909-1948)の作品でもっとも有名な冒頭の一文は「走れメロス」の「メロスは激怒した」であり、2番目が「人間失格」の「恥の多い生涯を送って来ました」であろう。
小説中のことではあるものの、太宰は恥の多い生涯を送って来たと言っている。そのひとが生きていれば自身がかいた恥の内容を自身で披瀝する可能性がのこる。しかるに、三途の川を渡ってしまえばその可能性は闇にほうむられる。恥のかずを比べたいとは、その故人をいたむ気持ちの表れである。
なお、6月19日はそのひとの生まれた日でもあるよし。生まれた日よりも亡くなった日を重視するのが人情だろうか。
ところで、太宰と心中した愛人の山崎富栄(1919-1948)も太宰とともに遺体が発見されたらしい。太宰ばかりに目がむいて、いま一人にまったく関心を向けないことにわたしの小ささが表れているようである。
【例句】
梅干と
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