ひとり来てワンカツプ飲む花見かな

【読み】

ひとりきてワンカツプのむはなみかな


【季語】

花見〈春〉


【語釈】

ワンカツプ――兵庫県の酒造メーカー、大関が製造・販売するカップ酒タイプのブランド名。180ml瓶詰の普通酒タイプのほか、大吟醸、300ml瓶詰、100ml瓶詰などを揃えている。

[デジタル大辞泉プラス]


【大意】

ただひとり来て、ワンカップを飲む花見である。


【付記】

「ワンカップ」は商標登録らしい。それに鑑みて「カツプ酒」とすればよさそうなものを、語呂の良さでその商標登録をえらんだ。それにまた、「ワンカップ」の名はあまりにも巷間に浸透したとみえる。わたしはくだんのメーカーの所在地のちかくに住んでいるので馴染みぶかいのも自然なことであろうが、全国的に名前が売れているのではないか。


わたしなどはワンカップに対して安酒のイメージを持っていたものの、それは必ずしも正しくないようである。この句を読んだひとがどんな情景を思い浮かべようと自由なのだが、ワンカップを象徴的な安酒のように思っているひとがいたとすれば、それは正確ではないとここに明言したい。


仮にこの句に題を与えるなら、「孤独」などが適当だろうか。奇しくも「ひとり」「ワン」の語(素)がみえる。もしもわたしが女性であったなら(もとよりこのような仮定は意味をなさないと考える)、それはもっと別のかたちを取ったことであろう。


【例歌】

白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり 若山牧水

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