なら茶飯さるさはの月よるのしか
【読み】
ならちやめしさるさはのつきよるのしか
【季語】
月・鹿〈秋〉
【語釈】
なら茶飯(奈良茶飯)――薄く入れた煎茶でたいた塩味の飯に濃く入れた茶をかけて食べるもの。また、いり大豆や小豆(あずき)・栗・くわいなどを入れてたいたものもある。もと、奈良の東大寺・興福寺などで作ったものという。ならちゃがゆ。ならちゃがい。ならちゃ。
[精選版 日本国語大辞典]
【大意】
なら茶飯、猿沢池にうつる月、夜に聞こえるシカの鳴き声(それらが奈良の秋の夜の物のなかでとりわけ良い)。
【付記】
3つの物をならべて1つの句としたものは過去にいくつか例がある。その顰みにならった。
わたしはなら茶飯(なら茶漬け)を食べたことがない。なにかの行事のときに東大寺や興福寺に行けばありつけるだろうか。松尾芭蕉(1644-1694)に「奈良茶三石喰ふて後、はじめて俳諧の意味を知るべし」との言葉があり、珍味佳肴より質素な食事を良しとしていた(そのようでなければ俳諧の真髄を知るべくもないと考えていた)のであろう。
猿沢池は奈良公園内、興福寺の南にある池で、奈良に観光にきてそれを見ずに帰るひとはまずなかろう。「猿沢池の月」はかつて奈良八景(=南都八景)のひとつに数えられたという。
いままでに夜にシカの鳴き声を聞いた記憶がない。シカは昼行性で、夜に鳴くことはまれだと思いこんでいる。
【例句】
目には青葉山ほととぎす初鰹
奈良七重七堂伽藍八重ざくら 作者不詳
ももちどりいなおふせ鳥
侘びて澄め月侘斎が奈良茶歌 芭蕉
ぴいと啼く尻声悲し夜の鹿 同
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