わがやども一夕なれや窓のあき

【読み】

わがやどもいつせきなれやまどのあき


【季語】

あき(秋)〈秋〉


【大意】

窓が開いているわが家のながめも、秋の夕暮れのひとつであることよ。


【付記】

「秋の夕暮れ」で終わる三夕のうたは、和歌に詳しくないひとでも聞いたことくらいはあるだろう。その名だたるうたの3分の1ほどの価値であるにせよ、わが家からみるそれも間違いなく秋の夕暮れのながめであるとした。数字を用いたある種のことば遊びである。


蛇足ながら、「窓のあき」は「秋」と「開き」の掛詞である。


【例歌】

我がやどのいささ群竹むらたけふく風の音のかそけきこの夕へかも 大伴家持


さびしさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮 寂蓮じゃくれん

心なき身にもあはれは知られけりしぎたつ沢の秋の夕暮 西行

見渡せば花ももみぢもなかりけり浦のとまやの秋の夕暮 藤原定家


【例句】

ほのぼのと鴉黒むや窓の春 野坡やば


夏の月蚊をきづにして五百両 其角きかく

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