師もなくてただあふぎみる月夜かな

【読み】

しもなくてただあふぎみるつきよかな


【季語】

月夜〈秋〉


【大意】

師もなくて、ただ月をあおぎみる夜である。


【付記】

「師もなくて」とは師と死別したとも取れるものの、かねてよりその道の師を持たないものと思ってもらいたいわたしの本心である。あおぐべき特定の師を持たない代わりとすべく月をあおぐ、すなわち自然を師とするこころである。


なお、標題の句は夏目漱石(1867-1916)の句に唱和したようなところがある。


【例句】

酒なくて詩なくて月の静かさよ 夏目漱石


団扇うちはもてあふがん人のうしろつき 芭蕉

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