水仙や石鹸の香をうばふほど

【読み】

すいせんやせつけんのかをうばふほど


【季語】

水仙〈冬〉


【語釈】

水仙――ヒガンバナ科の多年草。早春に、鱗茎から1本の花茎を出し、白や黄色で中央に副花冠をもつ花を横向きにつける。葉は根生し、平たい線形。耐寒性で栽培に適し、観賞用とする。らっぱ・口紅・房咲き・八重咲きスイセンなどの品種がある。主に地中海沿岸地方の原産。本州以西の海岸に自生するものは、野生化したものといわれる。雪中花。

[デジタル大辞泉]


【大意】

水仙が石鹸のかおりを奪うくらいに匂いを放っていることである。


【付記】

松尾芭蕉(1644-1694)の句の本歌取りもとい本句取りである。もっとも、作るまえはその句のことをすっかり忘れていたが。むしろ俵万智のさる歌を意識していた。


むかしは頭も石鹸で洗っていたと聞く。今やそこはシャンプーで、からだは液状のボディー・ソープで、手は液状や泡で出てくるハンド・ソープで洗うことが多くなったようにみえる。そのうえ、洗濯石鹸は合成洗剤にとってかわられ、「石鹸の香り」が定番としてかろうじて残っているようである。


【例句】

初雪や水仙の葉のたわむまで 芭蕉

其にほひ桃より白し水仙花 同

筒茶碗直切ねぎる片手に水仙花


春雨や小磯の小貝ぬるるほど 蕪村

しらつゆやさつ男の胸毛ぬるるほど 同

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