月にとどくはしごやや待て月の客
【読み】
つきにとどくはしごややまてつきのきやく
【季語】
月・月の客〈秋〉
【語釈】
はしご(梯子/階子)――①高い所に登るために、寄せかけるなどして用いる道具。二本の長い材に幾条もの横木をつけて足掛りとしたもの。のぼりばしご。②階段。だんばしご。きざはし。階(かい)。③ある目標に到達する過程。また、物事が次第に変化発展する一つ一つの過程。段階。④(―する)(「(梯子酒」または「梯子飲」の略から)場所を変えて酒を飲み歩く。転じて、同じような店や施設を続けざまにわたり歩く。⑤「はしごもち(梯子持)」の略。 ⑥=はし(階)の子
[精選版 日本国語大辞典]
月の客――月見の客。美しい月を賞しに出て来た人。
[精選版 日本国語大辞典]
【大意】
月にとどくハシゴ(あるいは階段)を上るのを束の間だけでも思いとどまってくれ。うつくしい月をながめる客人よ。
【付記】
竹取物語に着想を得たものである。月から来たかぐや姫はまぎれもなく月の客である。やんごとない姫君が十二単を着てハシゴをよじったり階段を上ったりするのはおかしいようだが、ドレスを着てガラスの靴をはいた女性が階段を駆け下りて人をまいた話しが欧州には伝わる。当世のこの島国の一般人の観念が、当時のひとびとに通用したとはかぎらない。
推敲前は「名月にはしごありてやかへる姫」。「天使のハシゴ」(=太陽光が雲間から放射状にふりそそぐ現象)からの類推で、月のひかりをハシゴあるいは階段に見立てるつもりであった。また、同語の反復をきらって上五(かみご)の「月」を「雲」にすることも考えた。後者だと句の焦点がぼやけてしまうとして、朱を入れるのを棄却した。
【例歌】
あまつ風雲のかよひぢ吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ
【例句】
横雲は月さしのぼるはしご哉 正信
槙の木は霧たちのぼるはしこ哉 安永
蟻の道雲の峰よりつづきけん 一茶
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます