【約1,300文字】初雪やフオーク・ソングを聴けるとき
【読み】
はつゆきやフオーク・ソングをきけるとき
【季語】
初雪〈冬〉
【語釈】
フオーク・ソング――民謡のこと。ただし一般には、アメリカの民謡のスタイルによるポピュラー音楽をさす。1940年ころのウディ・ガスリー(1912-1967)らにはじまり、第二次大戦後はP.シーガーやB.ディランなど。時に強い社会性をもつ。日本でも1960年代から流行し、いわゆる「ニューミュージック」の起源となった。
[百科事典マイペディア]
【大意】
フォーク・ソングを聴いているときに初雪が降りだすのであった。
【付記】
誰もがしるように日本列島は縦にながい。しれみれば、秋には初雪のふる場所、春(=立春以後)を待ってふる場所、初雪がその年の最初で最後の雪になる場所、数世紀に一度ふるかふらないかといった場所まで様々あるだろう。初しぐれもそうだが、秋にはじめて降ったとしても、特にそれと分かるようによむのでなければ形式的には冬の句となる。初雪とそれ以外の雪を分かつものがあるとすれば、それは端的に言ってそれに接するひとのこころの状態であろう。
さて、わたしくらいの世代の人間にはよくあることだと思うが、わたしが日本のフォーク・ソングを聴いた機会はかなり限られている。そして、本場アメリカをふくむ海外のそれにはまるで縁がない。
曖昧な物言いになるが、日本人にもっともよく知られる日本のフォーク・ソングの作品は、かぐや姫の「神田川」かと推測する。その次くらいにイルカの「なごり雪」が有名なイメージがある。前者は冬が舞台とみえ、後者は早春とみえる。仮に日本のフォーク・ソングの作品を四季によって分類したら、冬に該当するものが多いかとわたしは憶測する。
さる国民的歌手が「春よ、来い」と歌って流行することなどに鑑みて、わたしが思っている以上に季節が日本人のこころに及ぼしている影響は大きいのかもしれない。世につれる歌のならいで、流行した曲はその時代の写し鏡としてひとびとの記憶に保存されるのだろう。
【例歌】
ことぞともなくて今年もすぎのとの明けておどろく初雪の空 藤原定家
【例句】
初雪やかけかかりたる橋の上 芭蕉
初雪や幸ひ庵に
初雪に忘るる物は寒さかな
初雪や
初雪や四五里へだてて
はつ雪やをさまる江戸の人ごころ
初雪の市にうらばや雉子兎
はつ雪や嵐の中の夜半の鐘
初雪や枯木の上に手毬ほど
初雪や井筒きよむる炭俵
はつ雪は盆にもるべき
初雪に
初雪や門に橋ある夕まぐれ 同
初雪や一面に降る
初雪に売られて通る狸哉
初雪やあしあとは皆女中達
初雪ややさしき数の青物屋
初雪や
初雪に来る人嬉し窓の竹 四睡
初雪や波のとどかぬ岩の上
初雪や
初雪や田中の杭の一つづつ
はつゆきや居所替る蘭の鉢
初雪や旅へ遣りたる
はつ雪や人のくれたるひの木笠
はつ雪や石に敷たるさんだはら
はつ雪が降とや腹の虫が
はつ雪や
はつ雪やおしかけ客の夜番小屋 同
初雪や犬の足跡梅の花 作者不詳
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