虫の音にまだうち勝つや扇風機

【読み】

 むしのねにまだうちかつやせんぷうき


【季語】

 虫〈秋〉


【語釈】

 虫――美しい声で鳴く昆虫。スズムシ・マツムシなど。[デジタル大辞泉]


【大意】

 虫の鳴き声にまだうち勝っている扇風機の機械音である。


【附記】

 「まだ」がやがて来る逆転のときを暗示している。

 「扇風機」は夏の季語。扇風機の機械音もエアコンのそれに比べたら可愛いものであろう。


【例歌】

 停車場の大扇風機向日葵ひまはりのごとく廻れり黙せる群衆に 若山牧水


【例句】

 夕闇にめづる怪体けたいや煽風機 芥川龍之介

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