一億の同胞みゆる花見かな

【読み】

 いちおくのどうはうみゆるはなみかな


【季語】

 花見〈春〉


【語釈】

 同胞――①同じ腹から生まれた者。兄弟姉妹。はらから。 ②同じ国土に生まれた者。同一の国民。また、同一の民族。[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

 一億の同胞もみえる花見の場である。


【附記】

 わたしが思うに、日本の人口が一億を超えるのはこの時代が最初で最後になるのであろう。よくここまで繁栄したものである。


【例句】

 みよし野は右往左往の花見かな 貞室ていしつ

 一僕とぼくぼくありく花見かな 季吟きぎん

 桜狩お目やすめなりほととぎす 調和ちょうわ

 思ひ立つ木曽や四月の桜狩り 芭蕉

 花見にとさす船おそし柳原 同

 京は九万九千くまんくせんくんじゆの花見哉 同

 骸骨のうへをよそうて花見かな 鬼貫おにつら

 旅人の所なれたる花見かな 丈草じょうそう

 夜嵐や太閤様のさくら狩 園女そのめ

 やりたてて出るや奥野の桜狩 北枝ほくし

 筏士や蓑をあらしの花衣 蕪村

 夜桃林を出てあかつき嵯峨の桜人 同

 桜狩美人の腹や減却す 同

 傾城けいせいのちかけて花見かな 同

 筏士の嵯峨に花見る命かな 几董きとう

 重箱に鯛おしまげてはな見かな 成美せいび

 うつくしき手で銭をよむ花見かな 蒼虬そうきゅう

 年寄の腰や花見の迷子札 一茶

 火熨斗ひのしする花見衣やよべの雨 内藤鳴雪

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