【読み】

　このなつはやきうのすきがあつさかな

【季語】

　夏・暑さ〈夏〉

【大意】

　この夏は野球ファンの熱気でいよいよ暑くなるのであった。

【附記】

　通常は悪い／不快なものとされる暑さを肯定的によんだ。そこに俳諧があるといえばある。悪いことよりはむしろ良いことをと思うきょうこの頃である。

　一年の延期をへて今年は東京でオリンピックが開催されるらしい。しかし日本人がすきなスポーツといえば何をおいても野球であろう（関心がなかったり嫌いなひとも少なからずあることはもとより疑うべくもない）。今年に限ることではないものの、「この夏も」だと何か物足りなさを感じる。

　横文字の使用を極力さけるべく、「ファン」を「すき」と訳してみた。

　推敲前、中七「野球のすきの」。

【例句】

　月はあれど留主のやう也（なり）須磨の夏　芭蕉

　水無月（みなづき）は腹病やみの暑さかな　芭蕉

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