みじか夜や夢路をもどりかねてける

【読み】

 みじかよやゆめぢをもどりかねてける


【季語】

 みじか夜(短夜)〈夏〉


【語釈】

 夢路――夢をみることを道を行くのにたとえていう語。夢の通い路。[参考:デジタル大辞泉]


【大意】

 夏のみじかい夜を、ゆめの世界からの道を戻りかねているのであった。


【附記】

 中七から下五への句またがり(=ひとつの語を句をまたいで使用する技法)が一句の眼目である。

 「かねてける」は、補助動詞「兼ぬ」の連用形+完了の助動詞「つ」の連用形+詠嘆の助動詞「けり」の連体形である。


【例歌】

 ほととぎす来鳴く五月さつきの短夜も独りしれば明しかねつも 作者不詳

 夏の夜はまだよひながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらん 清原深養父きよはらのふかやぶ

 郭公ほととぎすまだ宵ながら明くる夜の雲のいづくになきわたるらん 後鳥羽天皇


 住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらん 藤原敏行


【例句】

 夏の夜は明くれどあかぬまぶたかな 守武もりたけ

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