かぜの香や五月は過ぐることはやし

【読み】

 かぜのかやごぐわつはすぐることはやし


【季語】

 かぜの香(風の香)・五月〈夏〉


【大意】

 かぐわしい風のふく五月は過ぎやすいものである。


【附記】

 楽しい時間は過ぎやすいことを、風がすばやく通りすぎるイメージに重ねて言った。

 松尾芭蕉(1644-1694)も使用した「風の香」だが、なぜか国語辞典にも項目が設けられていない。

 確証はないが往時は「五月」をサツキと読むのが標準的だったのだろう。いずれにしても今と1ヶ月ほど時期がずれることに留意されたい。

 このエピソードの公開初日にいまだ5月になっていないのはご愛嬌。


【例句】

 海ははれて比叡ふりのこす五月かな 芭蕉

 雨の日の木枕寒き五月哉 尚白しょうはく

 唐猫からねこに五月の玉やたますだれ 才麿さいまろ

 五月鳶なく端山はやまの友くもり 野坡やば

 水鶏くひなだにきかでしらくる五月かな 風国ふうこく

 竹の子の道をうしなふ五月哉 りんじょ

 薬園に雨ふる五月五日かな 蕪村


 思ひ立つ木曽や四月の桜狩り 芭蕉

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